2巡目ルーキーのペレ・ラーションも14得点と台頭
ヒートはホームにマーベリックスを迎えた試合で、延長の末に123-118で勝利した。わずかではあってもリードしていた時間帯が長かったのだから、延長に持ち込まれることなく勝ち切るべき試合だった。第4クォーター最後にジミー・バトラーが決めた同点ダンクは、背後から相手の接触を受けており、バスケット・カウントのボーナススローで決着を付けるべきだったのかもしれない。
エリック・スポールストラは「あれはファウルだったと思う」とコメントしたが、それ以上は追求しなかった。右手首のケガで不在のルカ・ドンチッチの分までハッスルするカイリー・アービングの活躍により逆転を許したが、ポストシーズンに『プレーオフ・ジミー』と呼ばれるバトラーの勝負強さがここで発揮され、チームの士気を高める勝利を得たからだ。
残り5秒、2点ビハインドの場面でバトラーはマークを引きはがしてリムに飛び込み、そこにダンカン・ロビンソンが完璧なタイミングでパスを合わせる。「サイドからのアウト・オブ・バウンズでああいった形が作れるのは素晴らしい」とスポールストラが称賛したチームの連動、デザインしたプレーの遂行力だった。土壇場で追い付いたヒートは、延長を9-5で上回ってマブスを下している。
バトラーは38分の出場で33得点9リバウンド6アシスト2ブロックを記録。右足首のケガによる4試合の欠場から復帰し、先のセブンティシクサーズ戦の30得点に続いて素晴らしい働きを見せた彼は満足気にこう語る。
「みんなが望むように、またスポ(スポールストラ)が言うように、僕がアグレッシブにプレーすれば他のみんなにも多くのチャンスが生まれる。攻めるべき時は思い切って攻める、そういう機会をもっと増やしていきたい。僕がオフェンスの先頭に立てばすべて上手くいく。あとはディフェンスをどうすればいいかを考えないとね」
バトラーの勝負強さはヒートの大きな武器。そして、毎年のようにこのチームから新戦力が輩出される強みもまた発揮されている。2巡目44位指名のルーキー、ペレ・ラーションはベンチから37分出場し、14得点5リバウンドと活躍した。先発パワーフォワードのヘイウッド・ハイスミスが体調不良で試合途中で退くことになり、急遽その穴を埋めたのだから、その働きは貴重だった。
開幕時点ではローテーション外で、今も信頼を勝ち取ったわけではないラーションだが、物怖じしないプレーでチャンスを生かした。「すべては最初の勢い次第なんだ。僕としては、チームメートを信頼して全力を尽くすだけ。ウチにはベンチから出て活躍できる選手が多くて、試合ごとに活躍する選手が変わる。僕もその一人になれて良かった」とラーションは言う。
彼もまた、チームリーダーのバトラーを称賛する。「ジミーの能力は常識では測れないよ。力強くリムに向かう彼を1対1で止めるのはほぼ不可能だ。そして彼はパスも上手い。つまり彼と一緒にプレーしている時、僕らには常にチャンスがある。ここに来た時から、それを生かすにはどうすべきかを教えられてきたんだ」
バトラーがリーダーシップを執り、若い選手たちがハードワークで台頭する。この好循環が生まれている限り、ヒートは常に強力なチームだ。