「同じページ」で戦い、新潟が劇的な逆転勝利
川崎ブレイブサンダースvs新潟アルビレックスBBの第1戦。同点になること19回、終始1、2ポゼッション差で推移する接戦となったが、残り14秒にラモント・ハミルトンがゴール下をねじ込んで80-78とし、そのリードを守り切った新潟が勝利。同時に中地区優勝を決めた。
両チームともに強みを生かし、前半を終えて37-37と互角の展開となったが、第3クォーターには、ニック・ファジーカスや辻直人に3ポイントシュートを浴び、残り5分にバーノン・マクリンにペイント内で得点を許し、この日最大となる7点のビハインドを背負った。
それでも上江田勇樹がフリースローで繋ぎ、出場停止明けの今村佳太が3ポイントシュートを沈めるなど、日本人選手の活躍で流れを引き戻した。
最終クォーターに入っても、辻や篠山竜青に3ポイントシュートを決められ、追いかける展開が続いたが、池田雄一が4本中3本の3ポイントシュートを成功させるなど、取られたらすぐに取り返すことで川崎にプレッシャーを与え続けた。そして、残り40秒に大黒柱のダバンテ・ガードナーのバスケット・カウントで同点とすると、ハミルトンの決勝シュートで接戦を制した。
新潟の庄司和広ヘッドコーチは「自分たちが準備してきたことはほぼほぼ出せたと思う。今回はすべてがうまくいった」と会心の勝利に満足気。ガードナーとハミルトンの強力外国籍コンビに頼っての勝利ではなく、チーム一丸の勝利を「同じページで戦ってくれた」と形容した。
「いつもだったらどこかで集中力が切れてしまうところも、しっかり切らさなかった。外国籍選手を休ませることはできませんでしたが、全員が良かった」
五十嵐「新潟には期待してなかったと思う(笑)」
ここまで57試合すべてに先発し、ガードナーとともにチームの中心を担う五十嵐圭も、我慢強く戦えたことを勝因に挙げた。「これまでの試合でも、リードを許す展開はたくさんありました。後半に入ってリードされても我慢しながらプレーして、流れが来た時にその流れをキープできるようにコントロールができました。逆転ができたところで、最後にコントロールができたのが良かった」
五十嵐は優勝の率直な感想を聞かれ、「素直にうれしい」と答えたが、その視線はすでにチャンピオンシップへと向いている。「チャンピオンシップ出場が決まった後に、次の目標として中地区優勝を目指していたので、達成できてうれしいです。僕自身、キャリアの中で優勝は初めてだったので。でも、これが最終的な目標ではないので、リーグ優勝に向け、新たな目標に向かって頑張っていきたい」
見事中地区優勝を果たした新潟だが、昨シーズンはチャンピオンシップ出場が叶わず、さらに大幅な補強がなかったこともあり、開幕時点での評価は高くなかった。五十嵐も「今までのシーズンがあって、ノーマークだと思われていたと思う。ここにいらっしゃるメディアの皆さんもそうかもしれないですけど、新潟には期待していなかったと思う(笑)」と、自虐的なコメントをした。
だからこそ価値のある地区優勝であり、「覆すことができた」と五十嵐は胸を張る。そして優勝までの道のりをこのように振り返った。「一戦一戦を戦う中で手応えを感じ、その手応えがチームのコミュニケーションや連携に繋がっていった。今まで持てていなかった勝ち癖をつけられるようになっていき、地区優勝に繋がったと思う」
チャンピオンシップ出場、そして中地区優勝と、目の前の目標を一つずつクリアしてしてきた新潟。残す目標はあと一つ。チャンピオンシップでの新潟旋風に期待したい。