藤枝明誠はウインターカップで2年連続ベスト4、新チームで臨んだインターハイは準々決勝でオーバータイムの末に敗れベスト8と、上位進出は果たせど勝ち切れない結果が続いている。そんなチームで金本鷹ヘッドコーチが成長を期待するのは2年生ながらチームの中心選手となった野津洸創と、「下馬評を覆す」と意気込む1年生の渡邊聖だ。ウインターカップに向けて成長し続ける藤枝明誠は虎視眈々と初優勝を狙う。

「1年生だけど、チームを引っ張ってくれている」

──まずは野津選手から、自己紹介をお願いします。

野津 藤枝明誠、2年生の野津洸創です。オールラウンドに何でもできるところが持ち味です。兵庫の甲南中学校出身で部活動とクラブチームのゴッドドアを両立し、ゴッドドアでは自分たちの代で全国ベスト16の成績を残すことができました。

──東山の瀬川琉久選手もゴッドドア出身です。一緒にプレーしていたんですか。

野津 はい。ゴッドドアは瀬川選手たちの代に全国優勝しましたが、僕はその時はメンバーに入ってませんでした。でも、瀬川選手は魚崎ミニバスから一緒なので、9年間ぐらい一緒にバスケをやってきましたし、ずっと近くで見てきた選手なので『あこがれ』というのはめちゃめちゃあります。

──渡邊選手から、野津選手の意外な一面も含めて紹介してください。

渡邊 遠征のホテルが一緒の部屋になることが多いんですけど、野津選手は7時起床だったりすると、6時45分から7時にかけて5回ぐらい悲鳴みたいな独特なアラームを鳴らすんです。それを知らなかったので、自分も起きてしまって「え、なんだ!?」みたいなことがありました(笑)。バスケの面では、練習が終わった後の自主練で誰よりも遅くまで残ってシューティングをしているので、そこは本当に尊敬してます。

──では、今度は渡邊選手の自己紹介をお願いします。

渡邊 藤枝明誠、1年生の渡邊聖です。町田市立南中学校で部活動と横浜ビー・コルセアーズ U15を両立していました。横浜ビー・コルセアーズ U15では1年生の時にJr.ウィンターカップでベスト8、2年生では準優勝、3年生ではベスト8とチャンピオンシップで優勝しました。得意なプレーは3ポイントシュートと、強気なアタックから得点するプレーです。

──渡邊選手は横浜ビー・コルセアーズ U15で東山の佐藤凪選手と一緒ですね。

渡邊 そうですね。凪選手はいじられキャラでしたけど、試合では本当に頼りになる選手で『勝負強さ』にはあこがれていました。

──野津選手、渡邊選手がどんなキャラクターか教えてください。

野津 僕もホテルが一緒だった時に少し抜けてるなと思ったのは、トップリーグの時にホテルの部屋の風呂にしか入れなくて、渡邊が先に入ったんです。次に僕が入ろうとしたら、もうトイレとかトイレットペーパーまでもがビチョビチョで、「なんやこれ」って言ったら、「カーテン閉め忘れた」って言うんです。それは「かわいいところもある」という面でもあるし「何してんだ」という面でもありますね(笑)。頼りにしているところは、1年生だけど先輩に対しても自分の発言をしっかり言えるところです。バスケの面では、試合でもたくさん活躍して結果を残してくれていますし、練習中もしっかり決めるところは決めて、留学生に対しても必要なことを伝えてくれたりして、チームを引っ張っています。

野津洸創

「自分の態度一つがチーム全体の雰囲気に関わる」

──去年のウインターカップが終わって、野津選手は1年間をどう過ごしてきましたか。

野津 去年はベスト8で開志国際、準決勝で福岡第一と当たって、試合に出してもらってるのに何もできずに情けなさだけが残りました。去年は主力のメンバーが3年生だったので、新チームになって自分が中心選手になったことで、すごく責任が大きくなりましたし、シュートまでのクリエイトを自分がする機会も増えて、去年の先輩の偉大さを実感しました。今は去年の先輩みたいにオフコートでも、練習中、試合中でも引っ張っていけるように努力しています。

──今年のインターハイ、トップリーグを振り返って、自分の成長を感じる部分は?

野津 トップリーグはほとんどが強豪校で、第1クォーターで勝っていても、第2クォーターで一瞬でも気を抜いてしまったら、すぐやられるっていうチームばかりでした。ずっと集中力を切らしてはいけない状況をたくさん経験できたのはウィンターカップに繋がってくると思います。個人としては、ディフェンスの強度が高い中で状況判断をしてアシストに繋げたり、ここはパスを出す、出さないの判断はインターハイから通して成長できた部分です。

渡邊 入学してからは、自分のプレースタイルを知らないチームメートもいるので、「まずは自分のプレーを証明しなきゃいけない」と思っていたので『信頼を得る』ところからのスタートでした。最初は実力を出しきれずに、プレータイムをもらえなかったり、チームメートからの信頼も得られていませんでした。でも、インターハイで自分のプレーが証明できて、そこから自信がついて、トップリーグでも活躍ができたので、インターハイが自分の分岐点だったと思います。

──金本コーチが野津選手には「もっと気持ちを強く持ってほしい」と言っていました。

野津 試合中、自分の問題点であるメンタルの弱さが出てしまってシュートが全然入らない時に、金本コーチから「そういう弱さがチームの雰囲気を壊す」と言われたことがありました。その時に、本当に「自分に全部が懸かっている」というか、自分の態度一つがチーム全体の雰囲気にかかわるんだという自覚を持ちました。

──渡邊選手はどんな試合展開でもアグレッシブで、メンタルが強いイメージがあります。

渡邊 野津選手も言ってくれましたが、「学年は関係ない」っていうのをプレー中も念頭に置いてやっています。僕は兄が2人いることが影響してか、日頃から年上の人に遠慮しないので、そういうのがプレーにも出ているんじゃないかなと思います。

渡邊聖

「下馬評を覆すダークホースになる」

──ウインターカップの組み合わせが発表されました。負けたくないチーム、選手はいますか。

野津 第1シードの東山には負けたくないです。僕は関西のチームに苦手意識があるので、それを自分の中で破りたいのと、どこのチームに対しても結果を残せると証明したいからです。この2年連続でベスト4で、「スーパースターの(赤間)賢人さんがいなくなったから負ける」とは思われたくないのでベスト8は絶対超えたいです。ライバルは、同学年で言うと福岡第一の宮本双子(聡、耀)ですね。2年生で活躍している代表格だと思うので、ポジションが違うので「負けたくない」とは少し違いますが意識はしています。

渡邊 僕も野津選手と一緒で東山には絶対負けたくありません。トップリーグで負けた思いもありますし、ベスト4が壁になってくるので、そこはしっかり勝ち切りたいです。個人的に意識してるのは凪選手と言いたいところなんですけど、東山の中村颯斗選手を挙げたいです。中学からずっと全国優勝で、1年生でインターハイ優勝にも貢献していて、U18日本代表にも入っています。同世代の中で「超えたい」と思える選手なので、勝って超えられるように頑張ります。

──最後に、藤枝明誠の注目してほしいところと、全国で応援している皆さんへのメッセージをお願いします。

野津 藤枝明誠が東山に勝つとか優勝するとか、きっと誰も思っていないと思いますが、そういう雰囲気だからこそ強さを発揮できるチームだと思っているので、是非ダークホース的な目線で見ていただきたいです。目指してるのは『団結力、Unity』。団結してチーム全員で戦うことなので、団結した藤枝明誠を見せたいです。

渡邊 藤枝明誠は基本的に自由なので、盛り上がる時に本当に盛り上がるところに注目してほしいです。あと、下馬評を覆すダークホースになると思うので、そこは絶対注目してほしいですし、波に乗ったらどのチームよりも強いと思うので、そこの爆発力にも注目して応援してください。