文・写真=鈴木栄一

最後までもつれる大接戦、明暗を分けたフリースロー

3月26日、三遠ネオフェニックスがホームでサンロッカーズ渋谷と対戦した。30得点11リバウンドのジョシュ・チルドレスに牽引されたチームは、終盤までもつれる激戦に72-69で競り勝ち、連敗を5で止めている。

第1クォーター、三遠はこのクォーターだけでチルドレスがいきなり12得点を稼ぎ、18-13とリードする。しかし、第2クォーターに入るとアキ・チェンバース、アールティー・グインらの3ポイントシュートを要所で決められて逆転。29-34で前半を終える。

第3クォーターに入ると、三遠は太田敦也が躍動し、フィールドゴール4本中4本成功の8得点をマーク。さらにチルドレスもインサイドへの切れ味鋭いアタックで続く。その結果、三遠は前日には16-30と大差をつけられた第3クォーターでこの日は22-14とやり返し、51-48と盛り返した。

勝負の第4クォーターは序盤、三遠が田渡修人の連続得点などで残り約6分半までにリードを9点にまで広げる。だが、SR渋谷もここからベンドラメ礼生の3ポイントシュートなどで徐々に追い上げ、残り50秒にロバート・サクレのバスケット・カウントでついに1点差と肉薄。勢いに乗るSR渋谷はさらに残り9秒でサクレの外れたシュートのオフェンスリバウンドをつかんだアイラ・ブラウンがファウルをもぎ取り、土壇場で逆転の2スローを手にする。

ところが、ここでブラウンが痛恨のフリースロー2本連続で失敗。逆に三遠は、残り5秒でアシャオルがフリースローを確実に2本決めて突き放して、息詰まる熱戦を制した。ちなみにブラウンのフリースロー成功率は60%、アシャオルは59.5%と全くの互角。しかし、今回はアシャオルそして三遠に勝利の女神が微笑んだ。

元NBAサクレを相手に攻守両面で一歩も引かぬ太田の活躍

これで連敗を止め、3月に入ってから初勝利となった三遠の藤田弘輝ヘッドコーチは、「チーム一丸となり、気持ちで勝てた試合だったと思います。渋谷さんのフィジカルやアスレチックなプレーは本当にすごかったですが、それ以上に気持ちで乗り切れたことは今後のシーズンにつながると思います」とコメント。最後まで集中力を切らさずに戦った精神面を勝因に挙げた。

そして元NBA選手のサクレを相手に真っ向から渡り合い、12得点をマークした太田のパフォーマンスについては次のような言葉で称えた。「スカウティングからの約束事をしっかり遂行してくれました。また、サクレにもタフなシュートを打たせていました。昨日も決められてはいましたが、タフなシュートを打たせていたので、今日も引き続きやろうと試合前に言いました。そして今日はオフェンスでも積極的にサクレ相手でも点を取りに行ってくれ、攻守ともに良いプレーをしてくれました」

前日、三遠はサイズの不利をつかれて渋谷にゴール下のリバウンド争いを支配された結果、オフェンスリバウンドを21も取られ、多くのセカンドチャンスを与えたことが敗戦の要因となった。しかし、今日は12本に抑えるなど、リバウンドをしっかり修正したのが大きかった。

外国籍選手も『三遠のバスケ』を貫いたことで連敗脱出

また、今日はチルドレス、アシャオルがゴール下へのアタックから高確率でシュートを沈めるなど、サイズで劣ってもスピードでは優位に立つ外国籍選手の特徴を生かしたオフェンスを実行。その結果、チルドレスとアシャオルはともにフィールドゴール成功率60%以上を記録した。

「彼らはスピードの優位を生かすことに重点を置いて攻めてきました。チルドレスとアシャオルのフィールドゴール成功率を45%くらいに抑えられればいいのですが、今日のように2人とも60%以上の確率で決められると勝つのは難しいです」と渋谷のBTテーブスヘッドコーチが語るように、ディフェンスからの素早い展開という三遠の持ち味をしっかり出せたことが勝利へとつながった。

この日、6リバウンドを記録するなどいぶし銀のプレーで勝利に貢献した岡田慎吾が「ここからまた一つギアを入れていきたい。みんな身体はしんどいですが、それはどこのチームも同じ。身体のケアに気をつけながら最後まで全員で戦っていければと思います」と語るように、この勝利を上昇気流に乗せるきっかけにしたいところだ。