「誰もが危機的状況は理解しているし、傷付いている」
開幕からここまで2勝11敗のセブンティシクサーズに明るい話題はほとんどない。現地11月19日には、翌日のグリズリーズ戦のために乗り込んだメンフィスでチームミーティングが行われた。『チームの顔』であるジョエル・エンビードとタイリース・マクシー、指揮官ニック・ナースが主導したこの対話では、活発な意見交換が行われたという。
指揮官ナースは「確実なのは、我々が勝利を必要としていること。誰もがチームの成功を願っているが、今は負け続けている。原因は多々あるが、それに対処するために我々は本音をぶつけ合った」と言う。
「我々は良いコンディションを保ち、チームとしての機能性を早急に高めなければいけないが、ここまでどちらも上手くいっていない。だからみんなが意見を出し合う必要があった。そういう意味では、正しい方向への一歩だったと思う」
ここで声を上げたのはマクシーだった。前日のヒート戦での覇気のない戦いぶりを指摘し、改善を求めた。「相手にやられたら、やり返さなきゃいけない。だけど、そういう気迫がまるでなかった。ああいうことは二度とあってはならない」
そしてマクシーは、エンビードの姿勢についても意見を述べたという。『ESPN』はマクシーがエンビードの遅刻癖を指摘し、彼の姿勢がチームに影響を与えるのだからもっとリーダーシップを発揮しなければならないと伝えたそうだ。『Inquirer』は、エンビードが若い友人からの率直な苦言を受け入れたと報じている。
「僕は声を上げたかった」とマクシーは言う。「こんな成績よりもずっと良いポテンシャルが僕らにはあると全員に伝えたかった。だから発言した。僕らはみんな、言うべきことを言った。こうして残りのシーズンに向けてもっと良くなっていきたい。誰もが危機的状況は理解しているし、傷付いているんだ」
マクシーは右足ハムストリングの肉離れで2週間離脱しているが、この日の練習メニューをすべてこなし、復帰が間近となっている。エンビードは左膝の負荷管理が必要ではあるが、プレーしながら調子を上げていく。グリズリーズ戦、あるいはその次のネッツ戦で、エンビードとマクシー、ポール・ジョージの『ビッグ3』揃い踏みが初めて見られるかもしれない。
もっとも、3人が揃わないことがだけが不振の要因ではない。低調なシュート成功率、リーグ最低クラスのリバウンド率、そしてマクシーが指摘したエナジー不足。ベテランガードがいるにもかかわらず勝負どころでのターンオーバーは多く、ナースの持ち味である組織的なディフェンスとプレーの多彩さも発揮できていない。
問題は山積みだが、一つずつ片付けていくしかない。すべてを一気に好転させる魔法は存在しない。それでもシクサーズにとって、今回のミーティングが流れを変えるきっかけになれば、まだ手遅れではない。