四日市メリノール学院は初出場から4年連続4回目のウインターカップ出場。中学では全国優勝を狙える強豪が、高校でも躍進を続けており、今夏のインターハイではベスト8進出を果たした。稲垣愛ヘッドコーチは多くの選手をローテーションで起用し、攻守のインテンシティが高い『走るバスケ』を40分間やり通すのが特徴で、1年生でも大胆に起用する。そんな四日市メリノール学院で1年生ながらローテーションに食い込んで急成長する3人に、初めてのウインターカップへの意気込みを聞いた。
「お姉ちゃんに勝ちたいので40点を取りたい」
──まずは3人それぞれの自己紹介からお願いします。好きな食べ物も教えてください。
中嶋 福岡県出身の中嶋とわです。ピック&ロールから崩すプレーを得意とするガードです。好きな食べ物はカツ丼です。試合に勝つから、というより美味しいから(笑)。
刀根 三重県出身の刀根綺萌です。ポジションはシューティングガードです。得意なプレーはドライブです。好きな食べ物は親子丼です。
伊藤 三重県出身の伊藤千寛です。センターをやっていて、得意なプレーはリバウンドからのシュートです。2人は学校の寮と愛コーチの寮なんですが、私は家から通っています。お母さんの作ってくれる料理は全部美味しいですが、丼もめっちゃ好きです(笑)。
──中嶋選手と伊藤選手は中1からメリノールにいます。刀根選手は地元の中学校を卒業してメリノールに来ました。3年間のギャップがあったので、慣れるまで大変だったのでは? そんな刀根選手を2人はどう見ていましたか。
刀根 最初は緊張ばかりで、合わせのプレーも全然分からなくて、めっちゃ悩みました。
中嶋 もともと地区大会の試合とかでマッチアップをしたこともあるので、めっちゃ上手いのは知っていたんです。だから入って来てくれたのがうれしかったです。でも、最初は全然しゃべってくれなかった(笑)。今は楽しそうに声を出してくれて、仲良くしています。
──中嶋選手と刀根選手から見た伊藤選手はどんな人ですか?
刀根 授業中も結構うるさいタイプに見えるんですけど、体育の授業が一緒なんですけどめっちゃ静かです。普段はしゃべるのに授業は静かに受けている真面目タイプです。
中嶋 でも、しゃべりだしたらとまらん(笑)。バスケでも同じでノッたら止まらないです。この間の試合も30得点取ったし。
伊藤 ポストのところで点が取れたので、そこで1人で点数を取っていました。
中嶋 私からすると4年間も一緒にプレーしているし、力強いし、やりやすいです。
──県の決勝で30得点の大活躍をしたら、それはかなり満足度が高いですよね?
伊藤 お姉ちゃんがウインターカップで38点取ったらしくて、お父さんから「それを超えられないうちはまだまだ」と言われるので、まだ努力が足りないです。私はお姉ちゃんにライバル意識を持っていて、「まだまだ」と言われるのは悔しいので、40点取りたいです(笑)。
「自分の中で責任を持てるのかはすごく大事」
──インターハイでは大阪桐蔭との激闘を制してベスト8と躍進しました。1年生でいきなり結果を残して、それから数カ月が経ちましたが、自分の成長をどう見ていますか?
刀根 私は中学までは自分の感覚だけでプレーしてきて、高校に入って頭を使ってバスケをやるようになりました。高校に入ってすぐケガで1カ月ぐらいプレーできず、メリノールのプレースタイルが分からないまま復帰してすぐ試合になって、自分がどれだけ通用するかも分からないし、何をすればいいのかも分からないし、どうしようどうしようと焦ってしまって何もできなくて。今は少しずつ慣れてきたので、上手くなっていてくれると良いんですけど(笑)。
伊藤 私はパスを出してもらって決める選手です。中嶋さんとか3年生の大久保結奈さんとか、パスを出してくれる選手が本当に良いパスを出してくれるから点を取れていますが、まだまだ足りない部分がいっぱいあると感じているので、コーチの皆さんのアドバイスも生かして、もっともっと成長したいです。
中嶋 中学と高校ではフィジカルが全然違いますし、相手のレベルも上がるので、中学の頃には行けていたドライブ、通っていたパスが止められることが多くなったと感じています。まだまだ自分を鍛えていかなければいけないと思っています。
──初めてのウインターカップに臨む気持ちはいかがですか。
刀根 ウインターカップはあこがれの大会です。私は中学の時に全国大会とか大きな舞台でプレーすることが全然なかったので、多分、というか絶対に緊張すると思うんですけど、落ち着いて自分らしくプレーしたいと思います。
──そういう意味では、中嶋選手と伊藤選手は中学で全国優勝を経験していますよね?
伊藤 いや、自分よりも上手い選手がたくさんいる中でやらなきゃいけないので大変です。中学校の時に私を支えてくれた先輩の中でメリノール以外の学校に行ってしまった人も多いですし、それだけ自分が頑張らなきゃいけないと思っています。
──メリノールはインターハイでも9人ローテで戦いました。スタメンと控えの優劣がほとんどなくて、ローテーションしながら常に攻守にインテンシティを出していくスタイルを1年生ながら任されていることを、どう受け止めていますか?
中嶋 メリノールに入る時に「競争の世界」と言われていて、ユニフォームを着れる人も着れない人もいるのは分かっていました。今回、高校になってスタメンで出してもらって、消極的なミスをしてプレータイムが短くなることもありますが、ユニフォームを着れない子たち、試合に出ることのできない子たちのために、自分たちがどれだけ頑張れるか、自分の中で責任を持てるのかはすごく大事だと思っています。「なんで出てるの?」とは絶対言われないように、しっかり頑張ろうと思って毎回コートに入ります。
「行くと決めたら絶対抜けると信じて、思い切って」
──刀根選手はメリノールのスタイルに慣れましたか?
刀根 愛コーチから「お前のドライブは全国レベルだから、チャンスがあれば迷わず行け」とよく言われるんですけど、迷ってしまうこともよくあります。そういう時こそ自分の力を出せる選手になりたいとずっと思っています。私は中学まで自分がチームで一番上手くて、自分がずっと試合に出れるチームでプレーしていました。でもここに来てからみんなの方が上手いし、自分だけでバスケをやるわけじゃないと意識しながら、「自分がやるべき時はやる」、「他の人に任せる時は任せる」で、その状況判断を大切にしています。ドライブに行くと決めたら絶対抜けると信じて、思い切ってやります。
中嶋 もう今は緊張せずゴリゴリやれるようになっているので大丈夫だと思います(笑)。
──伊藤選手はシックスマンですが、コートに入る時にどんなことを一番意識していますか。
伊藤 私は「どんな時も感謝を忘れない」と愛コーチからずっと言われていて、いつもその言葉を心に留めてプレーするようにしています。私はセンターなので、一番ゴールに近くて一番点を取らなきゃいけないポジションです。しかもスタメンの選手が疲れた時に出るので、短い時間でもできるだけ良いプレーをして、スタメンの選手が休んで出てきた時にもう一回良い状態で繋げるようにと思っています。
──ウインターカップで自分のどんなプレーを見てもらいたいかを教えてください。
伊藤 私はゴール下の力強さを生かしたプレーで、1本でも多くのリバウンドを取るつもりで頑張るので、そこを見てほしいです。
中嶋 ピックから周りを生かすプレーで、パスを出したり自分でドライブに行きます。あとはガードとしてしっかりゲームコントロールをしたいです。
刀根 迷わず思い切ったドライブに行くので、そこを見てください。
──では最後に刀根選手、ウインターカップでの目標を教えてください。
刀根 ウインターカップではベスト4に入りたいので、ベスト4に入って来るようなチームを倒して、私たちがそこに入るのが目標です!