「自分が出せるモノを出して落ちるなら、それはしょうがない」
今回のバスケットボール男子日本代表は国内組だけで構成され、若く新たな顔ぶれも多い。初招集となった一人が三遠ネオフェニックスで一気に成長速度を速めた大浦颯太選手だ。
大浦は昨シーズンに秋田ノーザンハピネッツから三遠に移籍すると、トランジションオフェンスを志向するスタイルにばっちりとハマった。60試合中38試合で先発を務めると、プレータイムの増加に比例してスタッツも伸ばし、平均9.5得点、2.4リバウンド、5.2アシスト、1.0スティールを記録。リーグ屈指の司令塔の地位を確立した。
今回の代表には吉井裕鷹、佐々木隆成が名を連ねているように、三遠から3人が選出された。当然ながら大浦は、日本代表の前に三遠を代表して来ていることを強調した。「吉井だったり、隆成さんはパリの時も代表だったので。そういった中で自分も選んでいただいたのはすごくうれしいです。三遠にフィットできたのは自分でも自覚しています。それはチームで戦えてるということなので誇らしいですし、チームを代表して来ているので、責任を持ってやっていければと思っています。日本はトランジションでアドバンテージを取っていきたいチームだと思うので、三遠でやっている考え方だったり、ディフェンスを見て判断するところは、このチームでより生きてくるのかなと感じています」
ボールプッシュや空いている味方に的確にボールを供給する能力など、ガードに求められる能力は以前から持っていた。それに加え、スクリーンからプルアップスリーを放つなど長距離砲の精度も安定し、得点力が向上したことでさらに止めづらい選手へと変貌した。「ガード寄りな選手」と自身で評価するが、もちろん3ポイントシュートも求められるため、代表ではコンボガードとしての活躍が期待される。
「オフボールからシューターアクションを使うことはなかなかないです。今までたくさんのシューターを見てきて、そういった選手と比べるのはおかしいと思っているし、ポイントガードのほうが僕はやりやすいですね。ピック&ロールも使えますし、その中でシュートを決めていければと思っています」
初の代表合宿とあって、トップ選手から新たな技術を盗み、自分の糧にしようとする意欲はある。ただ、他人を蹴落としてまで日の丸を背負いたいという思いはない。それは、周りではなく常に自分にフォーカスしているからこそだ。「自分が持っているモノだったり、自分のプレーができなかったら悔しいですが、自分が出せるモノを出して落ちるなら、それはしょうがないというか。また次に自分が何ができるか、それを探す成長に繋がると思います。負けず嫌いではありますけど、誰かに勝ちたいとか表に出るようなことはないです」
一貫して「自分の持っているモノを出し切り、日本代表として結果を残したい」と言う大浦は、日本代表の新たな可能性を示せるか。成長著しいコンボガードの挑戦は始まったばかりだ。