白慶花 佐藤ひかる

桜花学園では昨年からOGの白慶花と佐藤ひかるがアシスタントコーチを務めている。高校バスケ界で全国優勝71回の実績を誇る井上眞一ヘッドコーチが選手たちに『勝者のメンタリティ』を植え付け、2人のアシスタントコーチはより選手に近い立場で日々の指導に当たり、精神的なサポートも行っている。桜花学園のバスケを知り、Wリーグなど幅広い経験を持つ2人に、今のチームを語ってもらった。

「個性が強くて、どこからでも点が取れるチーム」

──去年も取材をさせてもらいましたが、あれから1年が過ぎて、アシスタントコーチとして成長できた部分はどこでしょうか?

 自己満足かもしれませんが、1年前に比べたら選手の気持ちを少しは汲み取れるようになったんじゃないかと思います。気持ちがノッている子はいいんですけど、元気のない子がいないかというアンテナは張るようにしていて、気になって声をかけたら案の定ちょっと落ち込んでいたり、そういうことが今年は増えたと思います。

佐藤 私はまだ成長したところが見つからないですね。インターハイにしても国体にしても大事なところで勝てていないので。

 私の答え、めっちゃ恥ずかしいんですけど(笑)。あそこで聞いてる選手たちが「キョンさん、自己満だなあー」って思ってそう(笑)。

佐藤 みんな、早くご飯食べに行きなさい(笑)。

──今年の桜花学園はどんなチームですか?

 バスケ的なところで言うと、個性が強くて、インサイドとアウトサイドのバランスも良くてどこからでも点が取れるチームです。

佐藤 バスケと違うところで言うと、仲も良いし元気も良いです。ただ、楽しく騒げる時は本当にみんな楽しくやれるんですけど、「もうちょっと元気を出してほしい」というところで元気が足りないところがあるかもしれません。練習中も良く言えば自分のゾーンに入って集中できているのですが、本当はもっと声を出してほしかったり。高校生なので簡単ではないですが、そこは変わってほしい部分ですね。

「強い気持ちが見え始めたところに成長を感じる」

──今回は3年生コンビの阿部心愛選手と白石弥桜選手、下級生コンビで金澤杏選手と竹内みや選手に取材するのですが、彼女たちがどんな選手で、どんなキャラクターか教えてください。

 阿部は175cmのフォワードで、身体が強くてオールラウンドに活躍できます。内外問わずに得点できる嗅覚は素晴らしいです。

佐藤 意外と引っ込み思案というか、「私がここで声を出していいのかな」みたいな感じがあります。性格的には自分が先頭に立つよりも背中で引っ張るタイプですが、そこで「ここでリーダーシップを取らなきゃいけないよ」とは伝えています。特にこのウインターカップに向けて、チームが苦しい時に「自分が行く」という強い気持ちが見え始めたところに成長を感じています。

 白石は185cmのセンターで、ウチの大黒柱です。器用さが武器ですが、ここに来て力強さを増していますし、力強さとしなやかさのバランスの良さが魅力だと思います。

佐藤 白石は同級生と仲が良いだけでなく1、2年生とのコミュニケーションもよく取ってくれて、チームのお姉ちゃん的な存在ですね。

 金澤は171cmのシューティングガードで、ウチのピュアシューターです。決定力の高さ、特にクラッチタイムの勝負強さはチームの中でもピカイチですね。

佐藤 金澤はああ見えておちゃらけていて、やっぱり関西人らしいところがあります。

 竹内は161cmのポイントガード。個人的に竹内はディフェンスでハードにプレッシャーを掛けて、それで先輩たちを背中で引っ張っているのがすごく良いと思っています。自分で得点を狙いつつ視野の広さを生かしてのアシストもできますし、どんな試合展開でもゲームをコントロールしてほしい選手です。

佐藤 注目してほしいのは、一番楽しくバスケをやっているところ。竹内はいつも笑顔なのが良いんです。見ていても楽しいし、勇気をもらえると思います。

 他の選手も紹介していいですか? ウチは全選手に注目してほしいので。

「井上先生に教えてもらったバスケを出してほしい」

──もちろんです!

 三國ソフィアエブスは170cmのポイントガードで、桜花学園で一番のスピードスターです。三國が入ることでチームが一変するぐらいのスピードがあるので、アグレッシブに攻撃してほしい選手です。

佐藤 三國は一番おちゃらけてますね。イジるのもイジられるのも大好きなムードメーカーです。

 イシボ・ディバインは176cmの2年生センターで、なんと言ってもパワーがあります。特にリバウンドが強くて、やっぱりディバインが出た時には一番にリバウンドに期待しています。

佐藤 彼女を一言で表すと短期集中型ですね。短い時間で集中してガッと仕事をする。井上先生もディバインの成長にはすごく期待しています。

 勝部璃子は178cmのフォワードで、1年生なのにインサイドもアウトサイドもこなす器用さが武器です。スピードもあってランニングプレーが得意です。高校に入ってからトレーニングをすごく頑張っていて、インサイドでも果敢に立ち向かっていくようになっているので、ディバインと一緒で今後に期待しています。

佐藤 勝部はオールラウンダーですね。1年生って言われなかったら分からないぐらい落ち着いています。

 他にも良い選手はいっぱいいますが、やっぱりウインターカップに向けてとなると3年生に期待したいです。3年間の思い、やってきたことを全部ぶつけてほしいです。

──それではウインターカップで、目標はもちろん優勝という結果だと思いますが、内容としてはどんなものを求めたいですか?

 もちろん点数を離して勝つのが理想ですが、ライバルチームも強いのでそう簡単にはいきません。私個人としては「桜花学園のバスケで勝ちたい」という思いが強いです。ディフェンスからのブレイク、フィジカルにインサイドを攻めるバスケを出し切ってほしいです。相手に合わせるよりも桜花学園のバスケをして、その結果として相手より1点でも上回っていればいいですね。

佐藤 私も同じですね。ディフェンスからのブレイクをベースに戦ってほしいです。井上先生がいつも言っている「命がけでやってこい」、「コートは戦場だ」という言葉を選手がコートでどう表現できるかが大事だと思っています。あと、桜花学園の良いところはベンチのメンバーが出ても同じパフォーマンスができるところだと私は個人的に思っています。誰が出ても、どんな試合展開でも、井上先生に教えてもらったバスケを出してほしいです。