ドノバン・ミッチェル

レブロン親子の凱旋試合で最高のパフォーマンスを披露

レブロン・ジェームズは今もクリーブランドにとって特別な存在だ。キャバリアーズがレイカーズを迎えた試合、ティップオフ前にレブロンの名前がコールされると、ファンは大歓声で彼を出迎えた。クリーブランドの人々にとっては、これまでコートサイドの観客席に座っていたブロニーがベンチにいるのも感動すべき出来事だった。

試合開始早々にレブロンが老いを全く感じさせない豪快なダンクを決めると、再び大きな歓声が上がった。最初のタイムアウトではレブロンがキャブズで過ごしたハイライト映像が流され、そこには2016年の優勝トロフィーを抱きかかえる幼いブロニーの姿もあった。映像が終わると人々はスタンディングオベーションを送り、レブロン親子も故郷の温かい歓待を喜んだ。

しかし、その後にファンの歓声を集めたのはキャブズだった。レイカーズはここまで3勝1敗、レブロンだけでなくアンソニー・デイビスも八村塁も開幕から絶好調で、JJ・レディックのきめ細かなバスケを遂行して、ここ数年にはなかった勢いがある。だが、キャブズはそれ以上のパフォーマンスを見せた。レイカーズの好調を支えるデイビスと八村を、エバン・モーブリーとジャレット・アレンのバックコートコンビが上回る。

ドノバン・ミッチェルが牽引するオフェンスは最初の12本中10本のフィールドゴールを成功させて、第1クォーターだけで8本の3ポイントシュートを決めて42-23と圧倒。ミッチェルはここで15得点を荒稼ぎした。第2クォーターはミッチェルがプレーメークに回り、アレンが14得点と大暴れ。第3クォーターはダリアス・ガーランドが7アシスト、ベンチから出たキャリス・ルバートが11得点を記録と、多くの選手が入れ替わりでオフェンスを引っ張り、レイカーズのディフェンスを翻弄した。

レイカーズは第4クォーターに八村をプレーさせず、開始1分でデイビスを、その2分後にはレブロンを下げて早々に勝負をあきらめた。その後はブロニーが5分間プレーして2得点2アシストを記録。NBA初得点が決まった時には、故郷のファンから再び大声援を浴びた。

キャブズが134-110の完勝を収め、これで開幕5連勝。セルティックスが敗れたため、東カンファレンスで唯一の無敗チームとなった。試合後にそれを知らされたミッチェルは「この時期の首位には何の意味もない」と言う。「ただ良いプレーをして、良い習慣を身に着けるのが目標だ。チームが学んで勝利を収めるのは素晴らしいことだけど、引き続きチーム作りを進めることだけを考えたい」

24得点7アシストを記録したミッチェルはこう続ける。「第1クォーターが終わったところで、『残りの3クォーターもこの調子で行けるよな?』とみんなに問いかけた。そして今は『この調子で次の試合からも行くぞ』と言うつもりだ。僕らはフィジカルなバスケをする。そして過密スケジュールをこなさなきゃならない。大事なのは良いバスケをして、それを継続すること。まだたった5試合だ」

そしてミッチェルは、このチームの絶対的なレジェンドであり続けるレブロンとの対決について持論を語った。「チームを優勝に導いた選手には敬意を表するべきだ。でも対戦相手として向かい合えば勝ちを譲るわけにはいかない。当然のことさ。彼だって『愛するキャブズには負けてあげよう』なんて絶対に思わない。むしろ逆で、毎回40点差で勝って自分の健在ぶりをアピールしたいはずだ。彼は歴史的な偉業を成し遂げた。僕だってレブロンのファンだった。でも同じコートに立てば話は別だ。競い合いたいと思わない人なんていない」

そして彼は強い決意を口にした。「僕はキャブズの『新しい顔』としてここにいる。優勝してここで2度目のパレードをやりたい。レブロンに敬意を表しつつ、努力し続けてその偉業を超えたいと思う。そういう競争が僕をアツくさせるし、その舞台に立てていることは最高の喜びだ」