問題視される選手休養問題改善に向けコミッショナーも介入
スター選手を休養目的で欠場させる、いわゆる『選手休養問題』。ついにはNBAコミッショナーのアダム・シルバーが介入する事態に発展した。
シルバーは、将来的なファン離れ、スポンサーへの影響を懸念し、チームオーナーにも選手起用に何らかの形で関与するよう各チームに通達。今後の試合で選手に休養を与える場合、事前通達を怠ったチームには何らかのペナルティを科す可能性も示唆している。
レギュラーシーズン82試合という長丁場、連戦が続く日程、移動距離が絡む今回の問題改善にNBAは今後も取り組んでいくだろうが、全チームがスター選手に休養を与えているわけではない。今シーズンのMVP有力候補の一人に挙げられているロケッツのジェームズ・ハーデンは試合出場を好むタイプで、『Fox 26』に対し「自分は休まない。休むのは引退してからでいい」と語った。
「俺はHOOPER(バスケットボール選手)だからね。ヘッドコーチも俺に休むように言う人ではないし、俺が休養を求めていないことも分かっている」
その言葉通り、ハーデンは現在まで今シーズン全71試合にフル出場。得点(29.4)、アシスト(11.2)、リバウンド(8.1)でキャリアハイの数字を残し、チームの西カンファレンス3位躍進を支え続けている。
クラブにとって選手は貴重な商品であり、その価値を損ねることは許容できない。連戦や長距離移動によるケガのリスクの変動を数値化しているチームもあるほどだ。常勝軍団スパーズの名将グレッグ・ポポビッチは、以前からレギュラーシーズン中に主力を温存する手法を用い、1999年から5回の優勝を達成している。それだけに、選手が可能な限りフレッシュな状態で勝負どころのプレーオフに臨めるかも優勝を左右するファクターと言える。
もっとも、ロケッツがハーデンを毎試合でプレーさせている理由は、大きなケガもなく今シーズンを送れているからこそ。程度の差にかかわらずケガをすれば、有無を言わさず『待った』がかかるはずだ。
幸い、サンダーからロケッツに移籍した2012-13シーズン以降、ハーデンはレギュラーシーズンで10試合以上欠場したことがない。選手管理が行き届いている現代のNBAにおいては、ハーデンのような『鉄人』タイプのスター選手の方が珍しいのかもしれない。