琉球ゴールデンキングス

文・写真=鈴木栄一

「相手の心をボディブローのように追い込んで行く」

4月7日、琉球ゴールデンキングスがホームで京都ハンナリーズと対戦。序盤から互いにシュートを決めきれずロースコアと我慢比べの展開になるが、第4クォーターに運動量とプレーの強度で上回り、67-52で接戦を制した。前日に続き西地区首位対決に勝利した琉球は、これで昨年に続く西地区優勝を確定させている。

前日は18時、そしてこの日は13時ティップオフとインターバルが短いこともあって、琉球はコンディション面に不安のあるジェフ・エアーズではなく、スコット・モリソンを起用する。エアーズ、ケビン・ジョーンズに次ぐ3人目の外国籍という側面が強いモリソンだが、持ち前のサイズを生かしゴール下で奮闘することで、自信の役割を果たした。

互いに粘り強いディフェンスに加え、チャンスでシュートを決めきれない部分もあり、ロースコアの展開が後半に入っても続く。琉球は攻撃を牽引する並里成が、第3クォーター残り5分で早くも個人4つ目のファウルを喫しベンチに下がるが、引き続き守備で踏ん張り相手に試合の流れを渡さない。43-45と京都の2点リードで最終クォーターを迎えた。

ここで琉球は、前日の3ポイントシュート7本中5本成功から一転、この試合は10本中2本成功と苦しんだ岸本隆一が早々に3ポイントシュートを決める。これで会場が大きく沸くと、さらにジョーンズがオフェンスリバウンドからのバスケット・カウント、モリソンのターンオーバー奪取からのレイアップなど怒涛の13連続得点。一気に56-45と抜け出した。

一方の京都は前日もほぼフル出場だったジュリアン・マブンガ、デイヴィッド・サイモンの外国籍コンビがガス欠となり、揃って動きにキレを欠いてミスが増えていく。

琉球のケビン・ジョーンズが「得点を許してもできるだけタフなシュートを打たせる。シュートに行くまでの過程でできるだけ苦しめることで、試合終盤に彼らの脚がなくなりこちらのアドバンテージになるように一生懸命プレーした」と語ったディフェンスが、ここ一番で効力を発揮した形。京都はここで日本人選手が悪い流れを打開することができず。第4クォーターは24-7と一方的な展開となって、琉球の快勝となった。

金城茂之

ベテランの献身に佐々コーチ「感謝しています」

琉球の佐々宜央ヘッドコーチは、「前半、形は作れていたけどシュートを決められなかった。そこで我々らしくディフェンス、リバウンドで我慢し続けた。そして第4クォーターに得点が伸びて一気に差をつけられた。内容としても良かったです」と総括。そして「相手の心をボディブローのように追い込んで行くのが僕らのスタイル。ゲームプランをしっかり遂行できました」と、自分たちの強みを発揮できたことを勝因に挙げた。

指揮官はインサイドの要ジョシュ・スコットのシーズン中盤での故障離脱など様々な困難を乗り越えての地区優勝への思いをこう語る。「一時はチャンピオンシップに行けないんじゃないかという思いもよぎりました。アクシデントも非常に多かった中、選手は1月に5連敗した時をよく乗り越えてくれました。途中から入ってくれたKJ(ジョーンズ)、モリソンもアジャストしてくれて、感慨深いものがあります」

そして、指揮官が強調したのは、出番は少ないが献身的にチームを支えてくれている石崎巧、金城茂之、寒竹隼人の目に見えない貢献の大きさだ。

「選手は普通にバスケットをやりたいと思ってベンチに入っています。だから言い方は悪いですが11人目、12番目の存在である金城、寒竹、石崎とチームで最年長の選手たちは文句も言いたいと思います。ただ、そんな状況でも彼らが今でも居残りで練習をして、常に準備をしてくれている。そういう試合に出ていない選手が腐らずにいるチームは強い。彼らが常に準備をしてくれていることは、ゲームどうこうというよりチームの精神ですごく大事な部分となっています。まだシーズンは終わっていないですが、感謝しています」

文字通りチーム一丸となったつかんだ地区タイトルだが、琉球が目指すのはあくまで頂点に立つこと。だからこそ、「残り5試合、一つでも自分たちのステップアップ、成長に繋がるように。このままの流れでみんなが試合に臨める状況を作りたい」と佐々は言う。昨シーズンのセミファイナル進出を上回るためにも、琉球は一息つくことなく走り続ける。