文=杉浦大介 写真=Getty Images

渡邊雄太の大学3年目のシーズンは呆気ない結末を迎えた。
A10トーナメント(カンファレンス内で行われるトーナメント)準々決勝のリッチモンド大との試合、67-68と1点ビハインドで迎えた残り5秒で、ジョージ・ワシントン大は最後のチャンスを渡邊に託す。ドリブルからプルアップジャンパーを狙ったところで、相手ディフェンダーにボールを奪われ、そのままダメ押しとなる得点を奪われて67-70での敗戦。
昨シーズンに続き、NCAAトーナメント出場に必要なカンファレンス・トーナメント優勝には手が届かず。代わりに出場したCBIトーナメントでも2回戦で敗れ、シーズンを終えた。そのCBIトーナメント1回戦でトリド大を破った3月15日の試合後、渡邊がインタビューに応じてくれた。

最低でもシュートは打ち切らないといけない場面でした

──NCAAトーナメント出場を懸けたA10トーナメントでは、準々決勝で悔しい敗戦を喫しました。

そうですね。リッチモンド大との試合後は多くの人に声をかけてもらって、みんなに「おまえのせいじゃない」と言ってもらいました。ただ、僕は自分の責任だと感じています。正直、まだ自分の中では切り替えられていないというか……。次の試合もすぐにあるので、切り替えていかなければいけないんですけどね。今日の試合に100%集中できていたかというと、正直、分からないです。

──あのリッチモンド大との試合、特にラストプレーの話は避けて通れないので、少し振り返りたいと思います。最後のチャンスでボールを奪われた場面、あれはファウルだったという見方もあります。

ツイッター上などでは写真も出ていて、完全に(ディフェンダーに)手を叩かれていましたね。ただ、それを言い出したらキリがないです。仮にファウルだったとしても、最低でもシュートは打ち切らないといけない場面でした。それができなければ、オフェンシブリバウンドを手にする可能性もなくなってしまいますからね。

──NCAAトーナメント進出という目標を果たせませんでしたが、この結果をどう受け止めていますか?

トーナメントの前まではチーム全体がすごく良い雰囲気でした。良い形でトーナメントに入れただけに、あの敗戦はキツかったです。先ほど言ったように早く切り替えなければいけないんですけど、自分の中ではなかなかあの瞬間が忘れ切れない部分があります。本当に悔しいです。

決めるべきシュートを自分たちが決められなかった

──5連勝でレギュラーシーズンを終えて、A10トーナメントの初戦まで含めて6連勝。第3シードのリッチモンド大との試合も勝つべき内容だっただけに、余計に悔しいという気持ちが伝わってきます。今シーズン全体を降り返って、チームに足りなかったのは何だったと思いますか?

シーズン序盤はディフェンス面で、チームの約束事が全くできなかった時期もありました。それがシーズン終盤、トーナメントに入った頃にはほとんどなくなっていきました。(シーズン最終戦の)デイトン大に勝った時点では、すごく良いチームになったと感じることもできていたので、それだけに……。

──前年からメンバーの入れ替わりが激しかったことで、徐々に向上しながらも、チームとして成熟する時間が足りなかった印象も受けました。

それもあるとは思いますが、言い訳にはできません。開幕前にヘッドコーチ交代という誰も予期しなかったことが起こってバタバタしたんですけど、新コーチはモージョー(モーリス・ジョセフ)が引き受けてくれて、良い雰囲気でやれるようになっていました。リッチモンド大に敗れたのは、最後に相手が決めるべきシュートを決めて、自分たちが決められなかった。それだけの差だったと思います。