太田敦也

文・写真=鈴木栄一

目標を失い「どうしたらいいのか分からないような感じ」

4月3日、三遠ネオフェニックスは敵地での川崎ブレイブサンダース戦に67-91と完敗。序盤から2桁のリードを許すと、そのままこれといった見せ場もなく敗れてしまった。

そして点差に加え、藤田弘輝ヘッドコーチがこう嘆くように内容が悪かった。「非常に残念な試合。選手たちに勝つ気があるのかちょっと疑問です。ただ、それだけでした。圧倒的に川崎さんの方のエナジーレベルが高かった。戦術云々ではなく気持ちで終始負けました」

中心選手である太田敦也も「最初の入りで、相手のインテンシティが高かったです。そこからズルズル行ってしまい、一度も勝ったクォーターがなかった。応援してくださるブースターさんには、本当に申し訳ない試合をしてしまいました」と反省しきりだった。

指揮官が強調した気持ちの面だが、現在の三遠はチャンピオンシップ、残留プレーオフともに絡んでいない中位グループ。良くも悪くも目の前に大きな目標がない状況だ。この点は太田も「どうしたらいいのか分からないような感じにはなっていた面もありました」と気持ちの持って行き方で難しい部分はあったと言う。

だが、それでもどんな状況でも目の前の試合で、ありったけの闘志を持って臨むのはプロ選手としてのあるべき姿だ。「僕らはプロです。残りの試合は応援してくださる方のためにも戦っている姿をしっかり見せていかなきゃいけないとみんなも分かったと思います。僕自身も改めて、再認識しました」と太田も、最後まで戦い続けることの大切さを強調する。

太田敦也

「 守備から波に乗っていくタイプ」と再認識

また、このような大きな目標を持ちづらい状況においても、貪欲に成長を求めてプレーを続けることは必ず来シーズンの飛躍へとつながる糧となる。それは太田のプレーから強く見えてくる。ここ数週間、太田はプレータイムが増えていることもあるだろうが、ミドルシュートなどより攻撃に絡んでいる。この試合でも14本中6本成功と成功率は低かったが、アグレッシブに点を取りに行った。

「前回の新潟戦で確率が良くなくて(10本中2本成功)、今回はシュートの方にフォーカスしすぎてしまいました。もっと点を取るなどスタッツを残していきたいと思っていましたけど、やっぱりディフェンスが一番大事。僕は守備から波に乗っていくタイプだと改めて思いました」

本人はこのように攻撃に意識が行きすぎて、持ち味である守備の強度が落ちてしまったと厳しい評価だが、プレーの幅を広げようとする前向きなチャレンジではないだろうか。太田のように一人ひとりが、最後までステップアップを目指し、前を向いてプレーすれば今回のようなインテンシティに欠ける試合はなくなってくるはずだ。

すでにチャンピオンシップ出場はない三遠だが、本日の横浜ビー・コルセアーズ戦に勝利すればB1残留が正式に確定する。三遠らしい激しさを持ったエッジのきいたバスケットボールを取り戻し、ホームのファンの下でしっかりと残留を決めたい。