スコッティ・バーンズは26得点、ディックは27得点
ラプターズは現地10月13日に行われたプレシーズン3試合目のセルティックス戦を111-115で落とした。プレシーズンゲームに勝敗はさほど意味がないが、セルティックスが主力の大部分を休ませたにもかかわらずラプターズには見せ場がほとんどなく、主力を起用した時間帯でも最大34点と大量ビハインドを背負っている。
それでも現地10月15日、ボストンからトロントへと場所を移しての同じセルティックス戦で、ジェイレン・ブラウンにジェイソン・テイタムの両エースを含む主力を起用してきた相手にラプターズは大健闘を見せ、良い手応えを得ながらの119-118の勝利を挙げた。
マックス契約を得て名実ともにラプターズのエースとなるスコッティ・バーンズは30分の出場で26得点9リバウンド10アシストと大暴れ。2日前の10得点1リバウンド2アシストとは別人の出来だった。指揮官ダーコ・ラジャコビッチは「どの試合でもこれぐらいの力を発揮してもらわなければ」とバーンズに高い要求を突き付ける。「彼が力強いプレーを見せれば、そのエネルギーがチーム全体に伝わる。大事なのは上手くいっていない時にどうプレーするか。若いチームは不安定なものだが、そこをバーンズには引っ張ってほしい」
そのバーンズを上回る27得点を挙げたのが2年目のグレイディ・ディックだ。バーンズの17本を上回る21本のフィールドゴールを放つ積極性を発揮し、得意の3ポイントシュートだけでなくペイントも果敢に攻めた。ただのシューターではなくオールラウンドな攻めを見せること、良い攻めから良い守りへと流れを作ることで、ディックは特別な存在となる。
「今日の最大の重点はディフェンス面にあった。そのおかげでオフェンスでも力を発揮できた」とディックは自分のパフォーマンスを振り返る。「ベンチに戻って教えてもらうのは何点取っているかではなくディフレクションの回数だった。それが僕のエネルギーを引き出してくれたんだと思う」
2日前とのパフォーマンスの違いはメンタルから来るもので、それはベテランのケリー・オリニクのアドバイスがきっかけだったとディックは言う。「前の試合に負けた後、『多くの選手がプレーにかかわればかかわるほどエネルギーが生まれる』とケリーが言ったんだ。流れが悪いとボールを持ってから『何とかしなきゃ』と考えて、そこからリズムが悪くなっていく。そうじゃなくて全員でプレーすれば、相手より一歩先を行くことができる」
バーンズとディックのコンビネーションは2年目を迎えて大きな向上が期待される。「昨シーズンの経験からスコッティがどれだけ相手ディフェンスに警戒され、そのおかげで僕が楽に攻められるかが分かった。彼が攻める時は相手の意識は全部そちらに向くと言っていい。そこで生まれるギャップを僕が使えばいいし、それが今度はスコッティを助けることにもなる。僕ら2人に限らず、今はみんながお互いを生かすことを考えているよ」
プレシーズンゲームではあっても、王者セルティックスを相手に互角の攻防を見せ、勝利したことで「良いゲームができたし、自信に繋がる」とディックは言う。「チームにとってもだけど、僕個人も良い手応えが得られた。テイタムのような選手を相手にアイソレーションから得点することは、2年目の僕にとっては大きな自信になる」
バーンズとディック以外にも、多くの選手が持ち味を発揮した。キングスから加入したデイビオン・ミッチェルは3本の3ポイントシュートを決めた上に10アシストと『守備選任』のイメージを払拭する出来。ヤコブ・パートルはセルティックスのスモールラインナップを高さで圧倒して15得点16リバウンドを記録した。ラプターズはまだまだ発展途上のチームだが、若さを生かして一つの自信を大きな成長に繋げたいところだ。