絶妙なコンビネーションと恐るべきクラッチ力の持ち主
ジャマール・マレーとナゲッツは4年2億800万ドル(約310億円)での契約延長に合意したと『ESPN』が報じた。マレーは2020年から始まる5年1億6000万ドル(約240億円)の契約をあと1年残しており、それが満了を迎える来夏から2029年までナゲッツでプレーすることになる。
2016年のNBAドラフトで1巡目7位指名を受けたマレーは、ルーキーイヤーから主力として活躍。その前年に加入していたニコラ・ヨキッチとのコンビネーションを時間を掛けて磨くとともに、チームは成長してきた。
マレーの持ち味はヨキッチとの息の合ったコンビネーションであり、クラッチタイムでの勝負強さ。ヨキッチとのピック&ロールからは無限のオフェンスパターンが生み出され、しかもそれは相手ディフェンスの出方を見て、その裏を突く。それでも崩せなければタフショットでも決めきるマレーのクラッチ力がある。どんな試合展開であろうと淡々とプレーするヨキッチとはベストマッチと言える。
マレーの恐るべきクラッチ力が確立されたのは『バブル』での2019-20シーズンのプレーオフ。2度の1試合50得点を記録してドノバン・ミッチェルとの点の取り合いを制し、カワイ・レナードとポール・ジョージの揃ったクリッパーズを相手に1勝3敗から逆転した。その翌シーズン後半に左膝の前十字靭帯断裂という大ケガを負い、2021-22シーズンを全休するも、復帰を果たした2022-23シーズンにはヨキッチとともにNBA優勝の立役者に。ナゲッツではMVPのヨキッチの存在感が目立つが、その負担を軽減し、彼にプレーを楽しませる意味でも『最高の相棒』であるマレーは欠かせない。
ただ、復活を果たしたとは言え膝のケガ以降はコンディション管理に苦労しており、今夏のパリオリンピックでも不発に終わった。ナゲッツが増え続けるサラリーに四苦八苦している状況でマレーにマックス契約を与えるべきかどうかが議論の対象となったが、フロントは一貫してマレーへの変わらぬ信頼を語ってきた。
優勝した2023年にはブルース・ブラウン、今オフにはケンテイビアス・コールドウェル・ポープと、サラリーキャップに余裕がない中で貴重な戦力の流出が続いているが、29歳のヨキッチと27歳のマレーという核となるコンビは今後も長くナゲッツに残る。彼らが健康を維持し、その周囲を良いロールプレーヤーで固めることができれば、まだ数年は優勝を狙うチャンスがあるはずだ。