京都は新戦力がフィット、序盤は点の取り合いに
ここまでB1の最高勝率を記録している川崎ブレイブサンダースが、とどろきアリーナに迎えたのは京都ハンナリーズ。京都は今季の交流戦でアルバルク東京、リンク栃木ブレックスを破っている『曲者』のチームだ。10日の第1戦も川崎が第4クォーターに追い上げられる83-80の辛勝だった。
両チームとも外国籍選手のオン・ザ・コート数は「2-1-1-2」で第2戦はスタートした。
第1クォーターの川崎はニック・ファジーカス、篠山竜青らがハイペースで得点を重ねる。対する京都も新加入、合流して2戦目のモー・チャーロが第1クォーターだけで10得点。突き放されずに食らい付く。第1クォーターは僅差ながら川崎が25-22と取った。
モー・チャーロは201cm100kgのオールラウンダー。シーズン途中に加入した選手がすぐフィットすることは稀だが、14得点を挙げた昨日に続いて、今日もオフェンスで際立つ活躍を見せた。
浜口炎ヘッドコーチは彼の特徴と、活躍の理由をこう説明する。「ウチは元々クリエイトできる選手が少ないチームだけど、彼にはクリエイトする力がある。またチームとしてスペーシングを大切にしているので、彼の動けるスペースを取ったり、合わせられるプレイヤーがウチは多い。周りの選手に上手く合わせる力があるので、それで彼の得点が伸びている」
モー・チャーロを軸にファイトする京都だが及ばず
京都はオフェンス面で強みを見せ、リバウンドも全員が身体を張る泥臭さを見せていたが、この試合は守備で苦しんだ。第2クォーターに入ると京都が一旦逆転したものの、川崎の『ファジーカス砲』が炸裂する。
ファジーカスは憎らしい活躍で、第1クォーターに7点、第2クォーターも10点を記録。川崎が49-39とリードを拡げて前半を終えた。
京都の狙いは当然、ファジーカスを封じること。浜口ヘッドコーチは言う。「彼はどこのチームとやっても30点くらい取る。いろんな部分を消すのは難しい。今日トライしたのはピック&ロールでなるべく彼にスクリーンをして、ピック&ポップでやられないこと。どちらかというとアウトサイドのシュートを抑えにいった。3ポイントシュートがポンポンと入ると30点をすぐ超えてしまうプレイヤーなので、まずそこにトライした」
ファジーカスは211cmの巨漢ながら、3ポイントシュートの成功率はB1最高。京都はそんな彼のスリーを一応『2分の1』に抑えた。しかしトータルでは31点を奪われた。
『平常運転』で得点を重ねていたファジーカスはこう言う。「相手チームが自分を止めに来ることは分かっている。自分もいろいろ考えながら工夫してプレーしている」。無数のシュートバリエーションを持つ彼は、相手がどう来ようがフィニッシュに持ち込んでしまう。
「後半はボールが入った瞬間にトラップを使った」(浜口ヘッドコーチ)という京都に対して、ファジーカスは柔軟に対応した。「相手がダブルチームに来ていたので、ボールをさばいた」と彼は振り返る。京都がダブルチームでインサイドのファジーカスに対応すれば、少なくとも一人はオープンな選手ができる。ファジーカスの配球に応えたのがポイントガードの藤井祐眞だ。彼は第3クォーターの途中から当たり始めて、第4クォーターは10分間で9得点を記録した。
「ノーマークの選手が良いシュートを打ってくれた」
川崎の北卓也ヘッドコーチもこう振り返る。「ニックにダブルチームが行ったところで、彼がパスをさばいて、ノーマークの選手が良いシュートを打ってくれた。それが追い上げられず、リードを保てた要因」
かと言ってファジーカスが単にアシストに徹していたということではなく、彼は第4クォーターも9得点を挙げている。また京都がタフに対応した副作用として、ファジーカスのフリースローが増えた。彼はこの試合で4度のバスケット・カウントを含む12本のフリースローを得て、そのすべてを成功させている。ただ、彼へのファウルを避けようと対応を緩めていたら、ファジーカスはもっと楽に決めていただろう。
京都の内海慎吾はこう悔いる。「相手の得点源を抑えて他でやられるなら改善点が見付かると思うけれど、取るべき人間に取られてしまうことは守備が機能してなかったということ。ファジーカスを止めようとして、ファジーカスに決められてしまうというのは改善とかでなく、やれていないということです」
仮に決められるにしても、攻めて「ファジーカス以外」に決められることが京都の望みだった。しかしファジーカスは容赦なく、そんな意図を粉砕した。加えてこの試合の川崎は藤井祐眞が18得点と好調で、辻直人、篠山竜青も揃って9得点。ファジーカスに次ぐ4番ポジションはライアン・スパングラーが負傷中だが、永吉佑也と野本建吾がいずれも8点を決めた。
一方で川崎は2日連続で京都の外国籍選手にポイントをかなり稼がれた。ただそれは北ヘッドコーチが「京都は3ポイントシュートのチーム。シューターがいるので、外をしっかり守ろうと話した。(インサイドの)ヘルプが少ないのでやられたというのもある」と説明するように、受け入れられる部分だ。また10日に17本取られたオフェンスリバウンドは9本に抑えて、セカンドチャンスからの得点もしっかり封じた。
川崎が今日は危なげなくリードを守り、101-90で快勝。昨年12月18日の滋賀レイクスターズ戦以来となる100点ゲームだった。
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