文・写真=丸山素行

豪華ゲストを集めたバスケットボールクリニック

3月11日、『頑張れ福島!WOWOW NBAファミリーバスケットボールフェスティバル』が開催された。東日本大震災から6年が経ち、復興に向けて進む福島をバスケットボールで応援したいと、NBAのレジェンドであるロン・ハーパーが来日。郡山市内の高校生を招待し、バスケットボールクリニックを開催した。

佐々木クリスと木村英里が司会を務め、SIAM SHADE栄喜、中村昌也、渡邉拓馬(元日本代表、アルバルク東京GM補佐)、佐藤晃一(日本バスケットボール協会スポーツパフォーマンス部会長、昨季までティンバーウルブズ・トレーナー)、落合知也(栃木ブレックス、3×3日本代表)、浅井優(カントリー山田)という豪華メンバーがゲストとしてクリニックに参加した。

ハーパーは終始笑顔を絶やすことなく、シュート練習の仕方やパスの意義などを直接指導した。子供たちも最初はレジェンドと接することに緊張が見られたが、ハーパーの積極的なコミュニケーションによっていつの間にか笑顔で練習をこなしていた。

クリニック終了後、ハーパーは震災への思いをこう語った。

「自然災害には避けられない部分もあり、まさに『悲劇』だと思います。その経験は生きている皆さんが共有すべきことです」

NBAでの経験を「ポジティブな方向で還元したい」

3月11日にクリニックが開催できたことは、彼にとっても特別なことであり、光栄なことだ。「災害に対してシリアスに向き合わなければ」と前置きしながらも、単に現状と向き合うのではなくポジティブな方向で、とハーパーは言う。

「僕が表現したいのは喜びだったり、ポジティブな気持ち。それはコートで見てもらったとおりです。楽しむことをいつも忘れない、そのような形で僕は還元していきたいと思っています。病院に行ってガンを患っている子供を訪ねたりもしましたが、あくまでも自分はポジティブなものを広げていきたいのです」

3.11に被災地を訪れ、ポジティブなエネルギーを届けたいと言うハーパーだが、最後に真剣な眼差しで被災地の子供たちへメッセージを送った。

「たとえどんな夢であろうと、それを達成するためには多大な努力とあきらめない気持ちが必要です。バスケットボールでも同じように、ハードワークが求められます。今日最高の選手じゃなくても、そして1年後に最高の選手じゃなくても、続けることで達成できることがあります。そのことを覚えておいてください」

限られた時間の中での交流ではあるが、レジェンドと接する機会は参加者たちにポジティブな痕跡を残したに違いない。