クリス・ボッシュ

写真=Getty Images

「球団史上最大のリバウンドとアシスト」

3月26日、ヒートはホームでのマジック戦でクリス・ボッシュの永久欠番式典を執り行った。

球団関係者、ヒートの選手、家族、大勢のファンに歓迎されたボッシュは、式典でのスピーチでジョークを交えながら、全員に感謝の気持ちを述べた。

そのボッシュをコート中央に呼び込んだのは、ともに2連覇を達成したドウェイン・ウェイドだった。「ビッグ3時代(レブロン・ジェームズ、ウェイド、ボッシュ)を伝説にした選手です」とウェイドから紹介されたボッシュは、2003年のドラフトに関する冗談で会場を笑わせた。

同年のドラフトでラプターズから4位で指名されたボッシュは、球団社長であるパット・ライリーの方を向き、「残念なことでしたが、彼は5位指名権を保持し、私は4位指名を受けてしまったので、球団はD・ウェイドという名前の選手で納得するしかなかったのです」と語ると、ウェイドも爆笑。そして次にウェイドについて触れ、さらに笑いを取った。

「D、君に話しておかないといけないことがある。君より先に永久欠番になってしまって、すまない。でもね、君に何らかの形で勝たないといけなかったんだよ」

2014-15シーズン途中に血栓症と診断されたクリス・ボッシュは、治療の効果もあって2015-16シーズンから復帰したものの、同シーズン中に再び血栓が見つかり、復帰の道が絶たれた。治療中に心が折れかけた時、ボッシュはヒートファンからの手紙に書かれてあった応援メッセージに助けられたという。

「みなさんもご承知の通り、私は2015年に健康面で問題を抱えていました。当時、胸にはチューブが入った状態で、歩くこともままならなかった。治療中、球団はみなさんから届いた何千通もの力強い手紙を僕に渡してくれました。何千通もの手紙が、ヒート・ネーションのみなさんから届いたのです。その全てを読ませてもらいました。みなさんの手紙が背中を押してくれたおかげで、コートに戻ることができました。病室の隅まで歩く力もなかった時、歩けるとも思えなかった時、みなさんからの手紙が自分の力になったのです」

ウェイドの前にボッシュについて語ったライリーは、2013年のNBAファイナル第6戦でボッシュが決めたプレーを称賛した。そのプレーとは、スパーズとのファイナル第6戦の第4クォーター終了直前にレイ・アレンが決めた同点3ポイントシュートに繋がった、リバウンドとアシストのこと。ライリーは、ボッシュのプレーを「球団史上最大のリバウンドとアシスト」と称えた。このプレーについて、ボッシュは「みなさんは気づいていないかもしれない。でも、第6戦でチームにとって必要だった脚力、そして少しの闘志を自分に与えてくれたのはみなさんなのです。そのおかげで試合に集中することができました。そして、史上最大のリバウンドを掴むことができたのです」

残念ながら、彼のプレーを再び見ることはできない。だが、クリス・ボッシュの名前は、ヒートの球団史に深く刻まれた。