文=鈴木健一郎 写真=鈴木栄一

完敗ムードを払拭した京都の『足』を使った反撃

リーグ首位を走る川崎ブレイブサンダースが年末以来となるメインアリーナ、とどろきアリーナに戻り、京都ハンナリーズを迎え撃った。

前半は川崎のペース。ニック・ファジーカスは、マーカス・ダブとケビン・コッツァーがスイッチしながらの徹底マークを受けシュートチャンスを作れなかったが、篠山竜青を中心に判断の良いパスワークで、ファジーカスに固執することなくフリーの選手を使ってリズムを作る。

残り5分13秒、ファジーカスがようやく最初のフィールドゴールを3ポイントシュートで決める。直後に栗原貴宏も3ポイントシュートで続いて17-9。これで川崎が主導権を握った。25-19で迎えたラスト1分は外国籍選手オン・ザ・コート「2」にもかかわらず5人すべて日本人選手のラインナップを敷き、篠山の3ポイントシュートで28-19とリードを広げて締めた。

第2クォーターに入っても流れは変わらない。京都は佐藤託矢がジュフ磨々道と戦ってインサイドで優位を作るも、チームとしてシュート確率が上がらない。攻撃で『消耗』していないファジーカスはリバウンドでチームに貢献しながらも、いつまでも沈黙してはおらず、ダフのフィジカルな守備を嫌がりながらも、タフショットをきっちり決めてリードを広げていった。

それでも後半に入ると、京都が足を使ってリズムを作り始める。トランジションのスピードが上がり、リバウンドでも奮闘。オフェンスリバウンドは前半で4つだったのが、第3クォーターだけで8つ。フィニッシュの場面で川崎の粘り強いディフェンスに遭いながらも、65-52とわずかながら点差を詰め、良い流れで最終クォーターに入った。

接戦に持ち込まれるも、リードを保ち勝ち切った川崎

この試合でも『終盤に強い京都』は遺憾なく発揮された。第3クォーターに続いてリバウンドを取っては走り、得点を重ねていく。『曲者』の磨々道が、地味にゴール下を決めたりファウルを誘ったりと京都の流れを止めようとするが止まらない。

オフィシャルタイムアウトの時点で76-65。ここから京都は村上直とモー・チャーロの連続3ポイントシュート、さらにはフリースローで3点差まで詰め寄る。互いにミスが出てしばし得点が動かない時間帯を経て、残り30秒から京都はファウルゲームに。ここで辻直人が珍しくフリースローを2本とも失敗。ここで籔内幸樹に速攻を決められ78-75と再び3点差に。

残り22秒からの再開。今度は永吉佑也がフリースローを1本落とし、京都はチャーロの3ポイントシュートで79-78と1点差に詰め寄る。だが、その後は辻が4本のフリースローをすべて沈めて逃げ切り、最終スコア83-80で川崎が勝利した。

ファジーカスは相手の激しいディフェンスに遭いながらもゲームハイの23得点を記録。ライアン・スパングラーをケガで欠く苦しい台所事情ではあるが、セカンドチームの選手たちも個々に持ち味を発揮して勝利に貢献した。

京都では内海慎吾が4本の3ポイントシュートを含む19得点。チャーロが14得点、ダブとコッツァーがそれぞれ12得点と働いた。終盤の底力を発揮した京都ではあるが、第2クォーター以降は一度もリードを奪えなかった。

篠山に焦りはないも「またこんな展開になっちゃったなあ」

前半の楽勝ムードから一転、最後は冷や汗ものの勝利。北卓也ヘッドコーチは苦戦の要因をオフェンスリバウンドだと振り返った。「どうしても先走りしてしまうんです。勝っている状態で点は必要なくて、相手に取らせないことが重要。そこでイージーなターンオーバーをしてしまう。あそこをシュートで終われれば、あそこまで苦しむことはありませんでした」

ただ、最初から楽に勝つつもりはない。「京都は終盤に力を発揮するチームだと分かっていたので、第3クォーターまで勝っていても、どこかでクロスゲームになるんじゃないかと思っていました。ハードにディフェンスして、選手は若干イライラしていたが切り替えてプレーしてくれました」と、勝ち切ったことの意義を語った。

司令塔の篠山も、終盤の展開を「リードは保っていたので、焦りはありませんでした」と振り返る。「ただ、『またこんな展開になっちゃったなあ』とは思っていました。第3クォーターに引き離せたところで、逆に詰められて第4クォーターで苦しみました。相手の3ポイントシュートが来ていたこともありますが、その前に自分たちのメンタルの部分です。こういう展開が続いているので修正したいです」

第2戦は明日15時より、とどろきアリーナで行われる。

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