バーノン・マクリン

文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

北海道の策は当たるも、川崎の力が上回る

川崎ブレイブサンダースとレバンガ北海道の第1戦。リーグ最下位に沈む北海道は、特別指定選手の中野司が初先発、川邉亮平もシーズン2度目の先発と、ラインナップに変更を加えて難敵、川崎に挑んだ。

予想外のラインナップで意表を突き、重量級センターのデイビッド・ドブラスが川崎の得点源であるニック・ファジーカスとマッチアップ。激しいディフェンスに加え、攻めでもポストプレーで押し込み、フィジカルに当たることで体力を削る作戦に出る。ドブラスがその役割を果たし、シュートが当たっていたこともあり、第1クォーターは21-22と一歩も引かない戦いを見せる。

ただ、ドブラスを休ませた第2クォーターの序盤、ファジーカスもベンチに下がっているにもかかわらず、力の差が出てしまう。たった2分間で藤井祐眞の4点プレーを含む8-0のランを浴びて21-30と離され、ドブラスをコートに戻すことに。それでも川崎の勢いは止まらず、バーノン・マクリンの速攻からの豪快なダンク、シェーン・エドワーズの3ポイントシュートを浴びる。折茂武彦が投入されてすぐバスケット・カウントをもぎ取る反撃もあったが、川崎は体力を回復したファジーカスがコートに戻り、付け入る隙がない。

立ち上がりには良かったシュートタッチも次第に落ち、前半を終えて35-47。ドブラスの奮闘にもかかわらずペイント内で挙げた得点が16-32と、チャンスメークの部分で大きな差があった。また川崎のプレッシャーディフェンスに苦しみ、ドライブで崩しきれずに余裕がないままパスを出し、受け手と呼吸が合わないターンオーバーが続いたことも痛かった。

後半もリバウンドを取ったファジーカスがすぐさま強烈なベースボールパスを篠山竜青に通し、マクリンの豪快ダンクに繋ぐビッグプレーが飛び出すなど、川崎の優位は動かず。マクリンが25得点、ファジーカスが20点と得点源が期待通りの働きを見せた川崎が、95-75で完勝している。

レバンガ北海道

B1残留への執念「揺らがないことが大事」

北海道はこれで10連敗。内海知秀ヘッドコーチは「事前に準備してきたことを選手たちは表現してくれたが、川崎さんの個人技、正確性に高いものがありました」と力負けを認める。
「川崎さんは代表選手のプレーが中心になってくるので、ここにどれだけプレッシャーをかけられるか。どれだけファジーカスと戦えるかの準備はしてきたつもりです。そういうタイトなディフェンスをしてでも入れてくる力が川崎にはありました。点数を入れられたから失敗ではなくて、向こうの技術が上だというところがありました」

若手を成長させる意味での先発の入れ替えは一定の成果があったものの、川崎を上回るには至らなかった。残り12試合も東地区の強豪との対戦が多く、残留プレーオフ圏外への浮上は相当厳しいと言わざるを得ない。それを踏まえながらも内海ヘッドコーチは「B1残留は絶対にクリアしなければいけない。そのために何ができるかを一つひとつやっていきます」と語る。

「今日のように強いチームに負けた時、これまでやってきたことが揺らがないことが大事です。積み上げたものを残留プレーオフで出せるように。そこで戦うチームとの比較になれば、外国籍選手のところはストロングポイントになると思います。あとは日本人選手の得点をどうするか。全員が積極的な姿勢を持つことで、その試合その試合で当たって来る選手が出てきます」

松島良豪の離脱を機に連敗が始まっており、その影響は大きい。「彼の不在はプラスマイナス20点分あります。彼の得点で10、アシストで5。外国籍選手を休ませると得点が止まってしまうのが大きな課題。そこをどう繋いでいくか。日本人選手の得点をどう伸ばすかの部分です」

今シーズンは開幕からなかなか勝ち星が伸びない北海道だが、観客動員はリーグでも屈指。この日も、川崎でのアウェーゲームにもかかわらず多くのファンが応援に駆け付けた。「負け続けていても、応援に足を運んでくださる皆さんがいます。その人たちのためにも、自分たちのバスケットをちゃんとやって、レギュラーシーズンの勝率を少しでも上げたい。今も選手たちは下を向いていません。そうさせないのが私の仕事でもあります。選手はもちろん、スタッフも一丸となって残留を勝ち取りたいです」