「目の前の敵だけでなく上位チームのことも考えながら」
3月23日、アルバルク東京は名古屋ダイヤモンドドルフィンズとホームで対戦し、82-70で勝利した。このスコアだけならA東京の快勝に見えるが、実際は試合の出だしで相手のクレッグ・ブラッキンズに高確率で3ポイントシュートを決められ、第1クォーターに堅守のA東京らしからぬ26得点を奪われる劣勢からのスタートとなる。
それでも守備を立て直して前半で逆転すると、第3クォーター途中には14点にまでリードを広げる。ここから名古屋Dも粘り、第4クォーター中盤には2点差にまで詰められる場面もあったが、そこで崩れることなくリーグ王者の貫禄を示しての勝利だった。
この試合、A東京を牽引する活躍を見せたのが馬場雄大だ。13得点5リバウンド6アシスト2スティールと攻守に渡って持ち前の躍動感あるプレーを見せた。「前半、相手のシュートが入っていましたが、後半になれば確率は落ちると思っていました。自分たちは変わらずにルカ(パヴィチェヴィッチ)の求めるバスケをやることを意識しました」
このように馬場は、第2クォーター以降の3つのクォーターはすべて15失点以下と守備を立て直して勝利できた要因を語る。ただ、「勝ちは勝ちとして置いておいて、第1クォーターに出遅れたところの反省はしないといけないです。常に目の前の敵だけでなく上位チームのことも考えながらやりたいので」と、明日に向けて気持ちをしっかり引き締める。
その上で、持ち味である豪快なドライブによる得点だけでなくチャンスメイクでも貢献した自身のプレーについて次のように振り返り、中でもターンオーバー0への手応えを語る。
「僕がドライブすることで守備は寄ってきます。そこで周りの状況をしっかり見ることを習慣として、練習中からできるようになってきた。それでアシストも増えてきて、自分のバスケスタイルはこういう感じかなと思ってやれています。そして今日はターンオーバーが0、ミスは僕の課題なので今日は納得のいく形でした」
「相手のキーマンにやられるわけにはいかない」
今日の馬場について田中大貴は「目の色が違っていました」と評価する。それでも馬場は「ルカからも今日もお前はすごかったと言われましたけど……」と、いつもと特に違う意識はなかったと言う。ただ、「今日のマッチアップは安藤周人さんで、大学時代からずっとマークしていた選手です。相手のキーマンにやられるわけにはいかないと強い思いがありました。正直に言うと大学時代は得意にしていました。でも周人さんはこの1年で本当に成長しています。それでも負けないぞ、という意地でやっていました」とモチベーションが高まる相手との対峙だった。
そして、「スペースを詰めに行きすぎて抜かれ、レイアップに持っていかれた場面がありましたけど、それ以外は納得できるディフェンスでした」と納得の守備を遂行できた。
千葉ジェッツとの大一番に敗れたものの、そこから立て直して勝利を積み重ねるA東京。連覇に向けてチーム力を高めていく上で、「集中力を持続させ、コンスタントに結果を出すことが僕の課題ではあるので、そこを今一度、見つめてプレーする。あとは自分との戦いで、相手より自分にフォーカスを当てていきたい」と己に厳しい。着実に進化を続ける馬場の存在はこれからより大きくなっていくはずだ。