「日頃の、いろんな意味での鍛錬が足りない」
インターハイ男子準決勝の第1試合は福岡大学附属大濠と美濃加茂の一戦。前日に開志国際を見事な戦いぶりで撃破した美濃加茂が、この日も同じように盤石の試合運びで76-68で勝ち切り、決勝進出を決めた。
福岡大学附属大濠としてはつかみどころのない試合展開だった。ほとんどの時間帯でビハインドを背負っていたが点差は開かず、いずれ流れが来て逆転できる気配はあった。それでも美濃加茂はスタメン5人が揃って40分フル出場する中でプレーの強度を落とさず、攻守の連携の良さを生かして最後まで試合をコントロールした。
福岡大学附属大濠の片峯聡太ヘッドコーチは「途中からはやりたいテンポで戦えましたが、美濃加茂さんはミスも少ないし、不要なファウルもしてくれない。スタッツも『ここが負けている』というところがパッと見た感じではないのですが、セレクションでウチが劣った印象はあります」と試合を振り返る。
福岡大学附属大濠の戦いぶりが悪かったわけではない。ただ、一度先行した美濃加茂がミスなく40分間を乗り切った。「やっぱり第4クォーターでタイムアウトを取ったところ、オフェンスが上手くいかないからディフェンスの1線目が緩くなって、目の前でポンと打たれて決められてしまう。そこはしのいでほしいのですが、シュートが入らなくて我慢しきれなかった」と片峯ヘッドコーチが振り返るミスのいくつかが勝敗を分けた。
「決めきるところで向こうの精度が高かった。『ここは決めたい』というところで美濃加茂さんがしっかり決めた。日頃の、いろんな意味での鍛錬が足りないと思います」と指揮官は負けを認めた。
「次は必ずタイトルをここ福岡に持ち帰りたい」
渡邉伶音は美濃加茂のキーマン、エブナ・フェイバーとよく渡り合ったが、チームが負けたのでは満足できない。「仲間に助けてもらいながらも、特に後半はそこまで点は取られなかったし、オフェンスリバウンドを何度も取られることもありませんでした」という点こそ評価するも、エブナ相手の守備にチームメートがダブルチームに来たところでパスをさばかれての失点が多かったことを悔しがる。
「そこからのジャンプシュートを高確率で決められて、相手が勢いに乗ったことが敗因になりました。自分で止めるべきところは止めなきゃいけない。もっと仲間に頼ってもらえるプレーヤーにならなきゃいけないと感じました」と渡邉は語る。
大会を通じて地元福岡のチームには大歓声が送られた。この日は渡邉が今年前半に特別指定選手として所属したライジングゼファーフクオカのチームメートも応援に駆け付けていた。「外国籍のパブロ(アギラール)まで来てくれているのが見えて、僕のために応援に来てくれたことに感謝したいです。チームメートだけでなく福岡県の皆さんが、自分たちのホームゲームという雰囲気を作ってくださっていたのをすごく感じていました」と渡邉は言う。
「準備期間が限られた中でここまで頑張ることができたのはプラスですが、悔しい気持ちが一番です。その気持ちを冬にぶつけられるよう、どんな練習にも耐え抜いて、絶対に優勝できるよう頑張ります。ウインターカップは東京になってしまいますが、次は必ずタイトルをここ福岡に持ち帰りたいです」