マブンガが7本の3ポイントシュートを含む39得点
栃木ブレックスvs京都ハンナリーズの第2戦。初戦では平均を下回るパフォーマンスに抑えられた京都の外国籍選手コンビが奮起し、ジュリアン・マブンガが39得点、デイヴィッド・サイモンが23得点を記録。一度もリードを許すことなく、82-75でアップセットを実現した。
試合開始1分、京都にアクシデントが起こる。ドライブから3点プレーで先制点を挙げた伊藤達哉が、ディフェンスに戻る際にジェフ・ギブスの肘が顔に入り脳震盪を起こす。すぐ起き上がれなかった伊藤はそのまま病院へ搬送された。
序盤で司令塔を欠くことになった京都だが、「彼のアクシデントがあったんですけど、『達哉のためにも頑張ろう』と、チームがよりギュッと一つになった」と、浜口炎ヘッドコーチはチームの結束が高まったことを実感した。
急遽出番が訪れた、ポイントガードの綿貫瞬が果敢にゴールを狙いミドルシュートを沈めるなど、アクシデントをカバーする。マブンガがファウルを受けながら3ポイントシュートを決め、ボーナススローも成功させる4点プレーでチームに流れを引き寄せると、サイモンもインサイドで力を見せた。
栃木の強みであるオフェンスリバウンドを、第1クォーターで8個も奪われたが、その後のディフェンスで粘りを見せ、ゴール下でのセカンドチャンスポイントを最小限に留めたことで、京都が23-18と先行した。
第2クォーターに入っても、京都の流れは変わらない。互いにスクリーンでのオフェンスファウルが連続でコールされてファウルがかさむ中、京都はマブンガとサイモンの攻めをより強調し、開始3分で栃木のチームファウルを5に到達させた。
さらに京都はディフェンスをゾーンにし、リズムを狂わせる。外を空けてしまう場面も見られたが、栃木はこれを決められない。相手に救われた京都は、周りの選手がしっかりスペースを取ることで、マブンガとサイモンが攻めやすいよう援護した。絶好調のマブンガが24得点、サイモンが16得点を前半だけで挙げた京都が49-37とリードして前半を終えた。
試合を決めた『脇を固める日本人選手たち』の力
後半に入ると、ホームで負けられない栃木の反撃が始まる。ディフェンスの強度を高め、ターンオーバーを誘発すると、そこから走るバスケットを展開。本来の姿を取り戻し、遠藤祐亮やライアン・ロシターの3ポイントシュートで点差を詰めた。速攻や3ポイントシュートが決まるたびに何度も会場が沸き、流れは栃木に行きかけたが、そのたびにマブンガが立ちはだかった。
激しさを増した栃木ディフェンスの前にボールが回らず、ショットクロックが少なくなる状況下で、マブンガはロシターを前に連続で3ポイントシュートを沈めた。タフショットを何度も決められ、会場のファンからはため息が漏れた。
京都が5点リードで迎えた最終クォーター。互いに得点を決め合う均衡が続くが、勝負を決めたのは脇役に徹した京都の3人だった。
ここまではあまりなかったが、マブンガがフィニッシュに行かず、ディフェンスを引きつけて周りにパスを供給。岡田優介と晴山ケビンがそれぞれ1本ずつ3ポイントシュートを沈めてリードを保ち、5点リードで迎えた残り1分9秒には、片岡大晴が3ポイントシュートのファウルを獲得し、このフリースローを3本すべて成功させてとどめを刺した。
浜口ヘッドコーチは「前半も瞬と達哉で数点取ってるんですけど、このペリメータープレーヤーの得点がすごく重要です。優介がデザインしたプレーから3ポイントシュートを決めて、ケビンがワイドオープンをねじ込んだ。この得点が増えてくるとチームは楽になる」と、彼らの一撃を高く評価した。
栃木は最後まで勝利をあきらめることなくプレーしたが、京都はフリースローをしっかり成功させて点差を保ち、アップセットを成し遂げた。
「真の強さにはたどり着けなかった」
京都の浜口ヘッドコーチは「昨日よりも会場の雰囲気に慣れて、しっかり戦えた」と総括した。また「選手にはリバウンドとルーズボールの部分を昨日以上に頑張らないと同じようなゲームになってしまうと伝えた。全員で戦うことができた」とコメント。結果的に15本のオフェンスリバウンドを許したものの、セカンドチャンスポイントを10点に抑えたことも勝因となった。
一方の栃木はオープンのチャンスは作れていたもののシュートが決まらず、安齋竜三ヘッドコーチは「60試合やっていればこういうゲームもある」とコメント。それでも「ここで勝ち切れば真の強さになっていたが、そこまではたどり着けなかった。なので、もっと成長しなきゃいけない」と前を向いた。
また、マブンガに個の力で39得点を許したこともあり、栃木が強みとする強固なチームディフェンスからのトランジションの機会が少なかったこともこの結果に響いた。「京都のフィールドゴールは50%を超えてるので、なかなか自分たちのトランジションに持って行けなかった。決められると、なかなか難しくなるので、たらればですが、何か対策をもうちょっと早くやっていれば良かったのかな」
リーグ2位の栃木から手にしたこの勝利は、京都にとって大きな価値がある。西地区3位の名古屋ダイヤモンドドルフィンズとのゲーム差は2ゲームのままと予断は許さないが、チャンピオンシップ進出に向けて大きく前進するゲームとなった。