文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

田口の執念がチームに伝播、秋田が気迫で三河を上回る

29勝9敗で西地区首位のシーホース三河と11勝29敗の秋田ノーザンハピネッツの第2戦が行われた。昨日の試合では大差をつけ勝利した三河だったが、田口成浩を筆頭にボールへの激しい執着心を見せる秋田の迫力に押され、最後まで苦しめられる展開となった。

オン・ザ・コートはともに「1-2-1-2」を選択。三河は取るべき選手が得点し、安定感のあるオフェンスで得点を重ねていく。それでも秋田のボールと人が連動したオフェンスに対応できず、早々に先発全員得点を許してリズムをつかめない。

イバン・ラベネルにタフショットを含む3本の3ポイントシュートをすべて決められ、第2クォーターだけで15得点の荒稼ぎを許し、前半を37-40と3点のビハインドで終えた。

後半に入っても秋田のアグレッシブなディフェンスの前に三河は勢いに乗れない。ボールマンへの激しいハンドチェックでボールを弾かれ、オフェンスセットに時間がかかってしまい攻めが停滞。桜木ジェイアールが高さのミスマッチを突いて13得点を挙げるも、リズムは決して良くはなかった。

秋田は白濱僚祐が要所で2本の3ポイントシュートを決め、リバウンドに積極的に絡む田口がオフェンスリバウンドからバスケット・カウントをもぎ取るなど、堂々の攻防を演じる。三河も次第にプレーの強度を上げて反撃を試みるが、このクォーターだけで田口に5本のオフェンスリバウンドを奪われ、セカンドチャンスポイントから逆にリードを広げられてしまう。

粘りを見せる秋田、ラストプレーまで三河に食らい付く

56-63と7点のビハインドを背負って第4クォーターに入った三河は、ここから試合巧者ぶりを発揮。ここ一番で激しいディフェンスから流れを呼び込むようになる。

前線からボールマンだけでなくボールの受け手にもプレッシャーをかけてパスワークを遮断し、ターンオーバーを誘発。狩俣昌也のプレッシャーに安藤誓哉が思わずオフェンスファウルを犯すなど、秋田は次第にリズムを崩していった。

こうしてディフェンスから流れをつかむと、『比江島タイム』がやって来る。比江島慎はドライブにジャンプシュートに3ポイントシュートにと、多彩な攻めで得点を量産。さらにはアシスト、ブロックショットと獅子奮迅の働きを見せた。

残り5分26秒、比江島のジャンプショットが決まり三河が70-69と逆転。残り2分、ギャビン・エドワーズがはたいたボールを拾った比江島がワンマン速攻を決め、79-73とリードを広げた。

秋田も意地を見せ、白濱の強気の3ポイントシュート、ラベネルのフリースローなどで79-79と食らい付く。それでも残り36秒で比江島がファウルを誘い、フリースローを2本とも成功させて81-79と勝ち越した。

秋田はタイムアウトを要求しオフェンスを確認するも、三河の強固なディフェンスの前にゴールを奪うことができず、そのままタイムアップ。81-79で三河が逆転勝ちを収めた。

勝負どころでの堅守が呼び込んだ『比江島タイム』

鈴木貴美一ヘッドコーチは「今日は秋田さんのディフェンスとリバウンドの執着がすごくて、なかなか我々の得点が取れないといった状況で、オフェンスも秋田さんの良いところも出ていましたが、外国人選手が前半で3ポイントシュートを決めたりトリッキーな部分があり、昨日とは違うチームになっていた」と秋田の健闘を称えた。

それでも「第4クォーターの最後の最後に非常に良いディフェンスができて、相手の足を止めることができたので、それが良いオフェンスにつながりました」と勝負どころでのディフェンスが勝因であることを強調した。

敗れた長谷川誠ヘッドコーチは「第4クォーターでもずっと我々のディフェンスができましたが、ただ大事なところで比江島選手にやられてしまった。あとは、タイムアウト明けの(ラスト36秒の)オフェンスが攻めきれなかった結果」と冷静に試合を振り返った。

両ヘッドコーチから名前が挙がった比江島は、第3クォーターまで9得点と彼にしては『平凡』な出来だったが、第4クォーターに17得点を集中させチームを勝利に導いた。「相手の勝ちゲームを最後の最後でもぎ取ったので、次につながる価値のある勝利だったと思います。第4クォーターだけで17得点もしていると思っていなかったので、自分がビックリしています」

「接戦の時こそ声援が力になるし、僕たちの背中を押してくれます。今日がアウェーだったら多分負けている。ホームだから勝てたと思います。毎回応援したいと思ってくれるようなプレーをするのは僕たちの仕事なので、これを続けていきたい」とファンへの感謝を述べ、会場を盛り上げた。

これで三河は勝ち星を30に乗せ、西地区首位の座をガッチリとキープ。一方の秋田は敗れはしたが、東地区最下位とは思えないほどの好パフォーマンスで第1戦の不甲斐ない出来を払拭した。

長いシーズンも約3分の2を消化し、どのチームもレギュラーシーズンの残り試合数は約20。チャンピオンシップや残留プレーオフを視野に入れた戦いが始まりつつある。

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