デジャンテ・マレー

ペリカンズはブランドン・イングラムをトレードへ?

ペリカンズがアタランタからデジャンテ・マレーを獲得した。このトレードでホークスにはレイカーズの1巡目指名権2つ、ラリー・ナンスJr.とダイソン・ダニエルズが移る。

ホークスは2022年オフにスパーズからデジャンテを獲得したが、トレイ・ヤングとマレーのバックコート・コンビは期待通りに噛み合わず、昨シーズンはプレーオフのファーストラウンド止まり、今シーズンは36勝46敗と大きく負け越してプレーイン・トーナメントで敗れた。ヤングかマレーか、2人のエースの少なくともどちらかを放出するのは規定路線と見られ、その行き先が注目されていた。

レイカーズが最有力と見る向きもあったが、2月の時点で一度は彼の獲得に乗り出したと言われているペリカンズがマレーの獲得に成功した。ペリカンズはエースのザイオン・ウイリアムソンをケガで欠いたプレーオフでサンダーに手も足も出ずファーストラウンド敗退となったが、それでもチームはこの3年で着実に成長しており、デイビッド・グリフィン球団副社長は「もっと積極的にチームを強化していく」と宣言していた。

ペリカンズのチーム改革には続きがありそうで、マレー獲得を決める前からブランドン・イングラムの放出が噂されている。契約期間が残り1年となって延長交渉の時期を迎え、最大で4年2億800万ドル(約310億円)をオファーできるが、ペリカンズはザイオンを大きく上回る年俸を負担するよりもトレードを選択しそうだ。スモールフォワードにはハーバート・ジョーンズにトレイ・マーフィー三世と生え抜きのタレントが成長しており、エース格であるイングラムが抜けてもダメージは最小限に抑えられる。

先発センターのヨナス・バランチュナスが契約満了となる今、センターの補強がまだ不可欠だが、今シーズン6位だったペリカンズのディフェンス力は、マレーの獲得でさらに強化される。グリフィン副社長の言う「積極的な強化」は着々と進められている。

一方で、ホークスの今後の動きは難しい。ホークスは当選確率3%の全体1位指名権を引き当ててザッカリー・リザシェイを獲得した。ドラフト不作の年でも1位指名には大きな価値があり、1年目から主力としての働きが期待できる。ヤングとマレーのどちらかを放出するにしても、上を狙うのであれば将来の指名権ではなく即戦力をトレードで獲得しているはずだった。

ホークスはマレー獲得の際に1巡目指名権3つをスパーズに譲渡している。今回は2025年と2027年の1巡目指名権2つを取り戻したが、それはアンソニー・デイビスのトレードでペリカンズに渡っていたレイカーズのもの。レイカーズがロッタリーに回るとは考えづらく、かといってホークスは再建に進んだところで自分たちの指名権は持っておらず、それで得をするのはスパーズだ。

ホークスはこの中途半端な状態を長くは続けないだろう。完全に再建へと舵を切るのであれば、マレーだけでなくトレイ・ヤングも若手有望株や指名権とトレードすることもあり得る。勝ちに行くのであれば、そのための戦力補強が必要となる。ヤング&マレー体制に失敗した代償は大きいが、ここからどう立ち直るかはフロントの腕の見せどころだ。