OG・アヌノビー

王者セルティックスに東で対抗できる一番手に

ニックスがオフの主役に躍り出ている。ネッツからミケル・ブリッジズを獲得する大型トレードを決めた翌日、今度はOG・アヌノビーとの契約延長に合意した。

アヌノビーは今シーズン途中にラプターズから獲得したスモールフォワード。シーズン途中の加入でもチームにすぐさま馴染み、『本職』であるディフェンスで相手のエースを抑えるだけでなく、オフェンスでも3ポイントシュートに加え、オフボールでのカットプレーでインサイドで得点を奪うなどニックスのオフェンスの幅を広げた。レギュラーシーズンでは肘の手術があり、プレーオフではペイサーズと戦ったカンファレンスセミファイナルでハムストリングを痛めケガに苦しんだ面もあるが、攻守両面の活躍でニックスを一段階上のチームへと引き上げる存在となった。

2020年にラプターズと結んだ4年7200万ドル(約110億円)の契約最終年を破棄することが確実視されており、再建中のラプターズが慰留をあきらめたところでニックスが獲得したが、契約延長ができる保証はなかった。今オフにフリーエージェントになって出ていかれたら、トレードの対価として差し出したRJ・バレットとイマニュエル・クイックリー、指名権が無駄になるリスクがあった。

それでもアヌノビーはニックスで長くプレーすることを決断した。ブリッジズの獲得に伴い、今後数年は優勝を狙えるという将来がニックスに約束されたことが彼の決断を後押ししたのかもしれない。『ESPN』によれば、ニックスとアヌノビーは5年2億1250万ドル(約320億円)で合意に至ったとのこと。

ジェイレン・ブランソンとジョシュ・ハート、ドンテ・ディビンチェンゾ、ジュリアス・ランドルといった主力を欠くことなく、アヌノビーとブリッジズというNBAで最も強力なウイングディフェンダーコンビが誕生する。サラリーキャップの縛りがあるため、こちらも契約満了でフリーエージェントとなるアイザイア・ハーテンシュタインを引き留めるのが難しくなっているが、センターのハーテンシュタインかミッチェル・ロビンソンのいずれかを手放せば、複数のロールプレーヤーを加える余地が残る。

また、年齢のバランスも非常に良く、ランドルとハートが29歳、ブランソンとブリッジズ、ディビンチェンゾが27歳、アヌノビーが26歳と、これから全盛期を迎える。サラリーキャップの縛りが年々厳しくなる現実から逃れられないのはどのチームも一緒だが、ニックスは年齢とサラリーのバランスが非常に良いロスターが、オフ序盤の現時点ですでに出来上がりつつある。

カンファレンスセミファイナルでペイサーズに敗れたが、アヌノビーの離脱があり、最後はエースのブランソンもケガでプレーを続けられなかった。そのチームの主力を現時点ではすべて残した上で、強力な補強に成功した。『王朝』を築く可能性のあるセルティックスに東カンファレンスで対抗できる一番手は、ニックスとなりそうだ。