川崎相手にトリプル・ダブルを含む連日の大活躍
前節、ライジングゼファーフクオカは川崎ブレイブサンダースにホームで連敗を喫した。この間に最下位にいた滋賀レイクスターズに並ばれ、レバンガ北海道を含む3チームが10勝34敗となった。それでも福岡にとって、この連戦のパフォーマンスは今後の残留戦線に期待が持てるものだった。川崎相手の大健闘のキーマンとなったのはマーカス・ブレイクリーだ。
延長までもつれた第1戦は37得点12リバウンド13アシストのトリプル・ダブル、続く第2戦では26得点14リバウンド4アシストを記録。「相手も強いチームで、このような残念な結果になってしまったけど、内容としては自分たちのやりたいことが見えてきたと思う。今後も前向きに戦っていきたい」とブレイクリーはチームに十分な手応えを感じた様子。
昨年末に滋賀レイクスターズに加入し、2月10日に契約解除。福岡に加わったのは登録期限の2月28日。3月3日の千葉ジェッツとのデビュー戦に続く出場であり、まだ連携は不十分だが、それでもこれだけの結果を残せるのは驚きだ。本人も「まだ加入したばかりで、今はテスト期間」と語る。それでも「チームに必要なことはやるつもりだし、チームも自分がやろうとすることを助けてくれる、そんな関係性を築いていけばもっとフィットできる」と意気込む。
「千葉と川崎を相手に良い試合ができたのだから、自信を失わないこと。今はボトム4にいるが、これから勝てるチームになっていく。この先、チーム一丸となって成長してB1に残りたい」
「声を出してリーダーシップを取っていく」
ブレイクリーは4番ポジションの選手だが、ポイントガードのように自らボールをプッシュし、ドライブで切り崩してパスをさばくことで攻撃を組み立てる。また守備に転じればリーグ最強センターのニック・ファジーカスのマークにつき、鋭いフットワークでミドルレンジにも張り付いて気持ち良くシュートを打たせなかった。福岡を率いるボブ・ナッシュも、「1番から5番まで、どの役割もこなせる選手。相手のセンターを相手に守ることもできる。非常に大きい」とブレイクリーの活躍を歓迎している。
ブレイクリー自身は強みを「バスケットIQ」と自負している。「この選手が何が得意で何が不得意かを見抜いて生かすコートビジョンは持っていると思う」
B1残留のためにどんな形でチームに貢献できるかを問うと、「リーダーシップだ」と即答が返ってきた。「声を出してリーダーシップを取っていくのはやはり大事。コートではチームを生かすようなプレーをして盛り上げていく、リードしていくつもり。オフェンスでもディフェンスでも、誰かがヘルプを必要としていたら助ける。コートでもオフコートでもそうするつもりだ」
川崎との2試合では、オーバータイムも含めて85分フル出場。2試合ともにタフネスぶりを発揮して強豪相手に熱戦を演出した。第2戦の最後はさすがにキツそうで、川崎の北卓也ヘッドコーチも試合を振り返って「キレが落ちていたと思う。そういう意味で助かった面もあった」と安堵したが、本人はスタミナ切れを認めようとはしなかった。
「個人的にはフィリピンでのプレーを経験しているからね。フィリピンは1クォーターが12分で外国籍選手は1人だけだから、48分フル出場に慣れているんだ。どちらかと言うと連日ゲームがあるスケジュールが厳しいけど、土曜の試合後にしっかり睡眠を取り、気持ちの部分での準備ができれば今回も問題はなかった。残り16試合、しっかり調整して戦っていくつもりだ」
「毎日の練習から、もちろん試合でもハードに戦う」
派手なモヒカンが目を引くが、実際にプレーを見るとディフェンスは丁寧だし、オフェンスでも本人が言うようにフロアバランスを把握して、チーム全体を動かす意図が見える。荒っぽいのは髪型だけ。そのモヒカンは「大学時代になんとなく始めて結構長くやっているけど、自分で簡単にセットできるから」との説明。オマケの要素として、子供たちから大人気だそうで、それも彼は気に入っている。
「滋賀よりも福岡のほうが暖かいし、街としても大きい。食事もおいしいので来て良かった」と福岡での暮らしにも早速フィットしている様子。「そばと天ぷらが好き」と言うブレイクリーのお気に入りのレストランは「スシロー」だそうだ。
最後にファンへのメッセージを。彼が声を出して鼓舞していくのはチームメートだけでなく、ファンも対象のようだ。「16試合は短いようでまだまだ長い道のりだ。4連勝したらボトム4から抜け出せるくらいの期間はあると思っている。ファンにはあきらめないようにと言いたい」と彼は言う。「自分たちは毎日の練習から、もちろん試合でもハードにプレーして、少しでも勝ちを取れるように戦っていく。だからあきらめずに応援を続けてほしい」と呼び掛けた。
ボトム4に沈むチームにとっての『救世主』となれるか。ブレイクリーはあくまでも前向きに、チームを牽引するつもりでいる。