琉球らしいアグレッシブなバスケットで年間勝率1位の京都を撃破

ゴールドの「KOSUGE」の文字を背中に光らせる子供たち。赤やピンクを誇らしげにまとって大挙する中年男性。露天商のごとく道ばたにスカイブルーを並べて人だかりを作る。チームカラーのTシャツを着た人々が向かう先は、bjリーグ ファイナルズが行われる有明コロシアムだ。

西地区代表は京都ハンナリーズと琉球ゴールデンキングス、東地区は富山グラウジーズと秋田ノーザンハピネッツがこの舞台に勝ち上がってきた。4チームの中で優勝経験あるのは琉球のみであり、2年前と全く同じカードである。当時のファイナリストは琉球vs秋田。琉球が103-89で勝利し、3度目のチャンピオンに輝いた。

bjリーグ11年目、最後の優勝決定戦がいよいよ始まった。

2シーズン連続レギュラーシーズン最高勝率の.750(39勝13敗)で西地区1位通過し、初優勝を狙う京都。対する琉球は、2年ぶり4度目の王座奪還に燃える。「2400秒(試合時間40分間)の1秒目から自分たちのバスケットのトーンをセットしていこう」と5人を送り出したのは、琉球の伊佐勉ヘッドコーチ。その言葉に応えるように、ファーストシュートで喜多川修平が3点を挙げた。続けざまに岸本隆一も3ポイントシュートで共演し、琉球らしいアグレッシブなバスケットでリードを奪う。

第1クォーター、ゴールに嫌われた京都のフィールドゴールは20%に留まる。対する琉球は、71.4%と高確率で決め、28-12と一気に差を開いた。京都は村上直が3ポイントシュートを決めるが単発に終わり、逆に琉球が次々と3ポイントシュートを沈めて50点に乗せ、前半で19点差を付けた。

圧巻は第3クォーターだった。次々と得点を重ねる琉球に対し、京都は全くシュートが決まらない。ドライブで抜いたノーマークのシュートさえゴールに嫌われ、ようやく得点を挙げたのは残り1分2秒、タイレン・ジョンソンの2本目のフリースローだった。

このクォーターに3点しか許さなかった琉球は、ダブルスコアとなる70-34と勝利を手中に収める。最後まであきらめず、薦田拓也が3ポイントシュートを決めていく京都だったが、87-56で琉球が快勝。史上最多となる4度目の王者に王手を懸けた。

明日の決勝も「2400秒の1秒目から」の気持ちで

「今日の試合は出来すぎ」と話していた琉球の岸本。しかし、足元をすくわれないよう、「試合中はこんなうまく行くはずがないと危機感を持って選手たちは戦っていた」と『2400秒間チーム』は気を抜くことなく戦い抜いた。決勝へ向け、伊佐ヘッドコーチも、「明日は我が身。京都のような強いチームでも、一つ歯車が狂ってしまうとこのような結果になってしまう。明日の決勝も2400秒の1秒目からチームのバスケットをやっていこう」とロッカールームで選手たちに伝え、早くも決勝へ気持ちを切り替えていた。

昨シーズンのNBL王者・アイシンシーホース三河より移籍してきた喜多川にとっては、『リーグをまたいでの2連覇』という珍しい記録が懸かっている。自身もそのことについては分かっているが、「チームが勝つことを優先して自分のプレイを出すだけ」と今日と変わらぬ活躍を約束し、会場を後にした。

3本の3ポイントシュートを含む15得点を挙げるなど攻守に活躍し、琉球に勝利をもたらした岸本。