レイカーズ移籍で『NBAの主役』の立場も失う
レブロン・ジェームズとレイカーズの2018-19シーズンは失敗に終わった、と言わざるを得ない。リーグでぶっちぎり最下位のサンズにシーズン14勝目を献上し、負けてはいけないクリッパーズとの試合もあっさり落として30勝34敗。西カンファレンスの8位まで5.5ゲーム差があり、残り18試合で巻き返せる可能性はほぼゼロだ。
ヤング・レイカーズの精鋭たちと新加入のベテランの融合に時間を要したこと。ケガ人が相次いでロスターを固定できなかったこと。フリーエージェント選手の獲得についての『フェイクニュース』で結束が揺らいだこと。指揮官ルーク・ウォルトンの経験不足……。不振の要因は様々あるが、少なくとも直近の負けについては「勝つだけのプレーができていない」ことに尽きる。クリッパーズ戦、パトリック・ベバリーほど勝ちたい意欲を出した選手がレイカーズにいただろうか? レブロンも含め、レイカーズの選手たちは淡々とプレーして、シーズン34敗目をあっさりと受け入れた。
ここ何年かはレイカーズがプレーオフ進出を逃しても驚くには値しないが、そこにレブロンがいないとなればNBAファンは当惑するものだ。34歳と大ベテランの域に達した今も、スタッツは十分に残している。まだ十分にやれているからこそ、「レイカーズ移籍は失敗だったのでは」と感じざるを得ない。
昨シーズンのキャバリアーズはサイクルを終えた色褪せたチームだったが、それでも50勝(32敗)を積み上げた。ウォリアーズには歯が立たなかったが、それでもファイナルへと駒を進めている。紛れもなくNBAの主役だったレブロンの存在感もここに来て薄れており、『GOAT』の議論も尻すぼみだ。
「みんな、ヤング・レイカーズに期待しすぎている」
レブロンが加わったからと言って、長い低迷期にあるレイカーズがいきなり優勝争いをするチームになるほど話は簡単ではない。しかし、今のレイカーズが将来に向けて何かを積み上げているようには見えない。来シーズンもその先も、ケガ人はそれなりに出るだろうし、レイカーズが興味を示せばフェイクニュースを含め様々な憶測が飛び交うのは避けられない。ウォルトンの力不足は明らかでも、では次に誰を据えるのか。大物フリーエージェント選手をオフに獲得しても、若手との融合にはまた時間がかかる。負のスパイラルを断ち切るのは簡単ではない。
「みんな、ヤング・レイカーズに期待しすぎている」とレブロンは言った。だが、ファンの大多数はヤング・レイカーズに過度な期待はしていない。『レブロンのレイカーズ』に対して彼らは期待するのだ。
レブロンはサイクルを終えたキャブズでもファイナルへと連れて行った。彼が加わることでヤング・レイカーズは優勝争いができる位置へと押し上げられ、そこで若手たちが成長することで、ウォリアーズのサイクルが終わった時には自分たちの時代が来ると、ファンは信じた。
だが、少なくともこのシーズンは失敗だ。来シーズンが始まる頃にはロスターの半数が入れ替わっているだろう。ベテランの大半はチームを去り、若手も何人かはトレードに出される。ウォルトンは更迭され、大物フリーエージェント選手がレブロンとタッグを組んで新たなシーズンを迎える。すなわち、特に積み上げられるものはなく次のシーズンに行くということだ。違いはレブロンが一つ年齢を重ねるということだけ。
負のスパイラルをどこで断ち切るか。それは目の前の試合でしかあり得ない。選手もヘッドコーチも、名門復活を果たすレイカーズに相応しい実力を備えていることを証明する機会は、あと1カ月の間にまだ18回残されている。