U22男子日本代表

文=鈴木健一郎 写真=野口岳彦

佐古賢一「日本代表に繋がる選手をストレートに導く」

ナショナルトレーニングセンターでは、先週から男子U22日本代表が集まるスプリングキャンプが実施されている。本来であれば今夏のユニバーシアード競技大会に向けた強化だが、この大会は規模が小さくなったため、男子日本代表に出場枠が回って来るかどうかは不透明。それでもA代表のすぐ下に位置する世代だけに、意欲的な強化が進められている。

ヘッドコーチの比嘉靖(大阪体育大)、アシスタントコーチの網野友雄(白鷗大)と西尾吉弘(大東文化大)の指導を受ける彼らは、全員がアマチュアであっても、特別指定でBリーグを経験する選手も含まれている。A代表でアシスタントコーチを務める佐古賢一はアソシエイトヘッドコーチという立場でこの合宿に参加している。

「A代表に直結する世代なので、U22の大学生を強化から引き離すわけにはいかない。僕が携わる理由はマインドの変化であって、『大学ではOKだけど、ここで君たちが求められているものは違うよ』と伝えること。日本代表に繋がる選手を寄り道させず、ストレートに導く。そのために、彼らの練習への取り組みを高めたい。ユニバがあるないにかかわらず、そこをしっかりとやっていきます」と、佐古はこのチームへのかかわりを語る。

『ここで君たちが求められているもの』の代表的な例がサイズアップのためのコンバートだ。例えば赤穂雷太は青山学院大では4番をメインに3番でもプレーしているが、ここU22日本代表の合宿では2番ポジションでのプレーしている。佐古はこう説明する。「大学では4番をやってもいいけど、ここでは2番を学んでもらうと伝えました。攻撃になったらウイングの位置までまず走ること。ボールを受けたら最初のドリブルからが勝負です。4番をやっていると『ひとまず一回』みたいな感じでドリブルをついちゃう。そのクセをここで直してもらう。その課題をクリアして伸びていかなきゃいけない」

佐古賢一

この年代の底上げが日本代表の強化に繋がる

午前中の練習が終盤に差し掛かった際、佐古はストップを掛けて2班に分かれていた選手たちを集めた。集中が緩んでいると見たからだ。「一つひとつのプレーの質を高めよう。疲れているかもしれない、集中できないかもしれないけど、今日この練習で質を求めて、いざ試合で『準備した』と全員が思えることが大事。そうでなければやる意味がない」。そんな檄を佐古から飛ばされて発奮しない選手はいない。最後まで熱のこもった練習が続いた。

U22日本代表は全員がアマチュアであり、先日ワールドカップ出場権を勝ち取ったA代表の面々と比較すると経験の面での物足りなさは否めない。だが、この年代のエリートであるU22を強化し、いつA代表に呼ばれてもいいレベルまで引き上げて全体を底上げすることは、確実に日本全体の強化に繋がる。

「経験は絶対的に不足していますが、A代表を感じられる経験をしている西田(優大)や(平岩)玄は重要なキーマンになります」と佐古は言う。「彼らはこの合宿とA代表の合宿が違うことは当然理解しています。どんどん引き上げていくことをやってもらわなくちゃいけない。このチームのマインドをチェンジさせて、周りに影響を与えて下を育てていってもらいたい」

「ここにいる選手たちがA代表に入れるかどうか、決めるのは僕じゃないし、何かを約束することはできません。それでも間違いなくこの中でA代表にピックアップされて合宿に呼ばれた時点で、A代表に残るチャンスはあったわけです。今はまだチャンスのレベル。そこから毎回、確実に呼ばれるようになるにはまだ足りないものがある。その準備を今やらなければいけない。そこを気付かせて、無駄なくA代表に活躍できるレベルの選手をアンダーから作っていきます」

U22男子日本代表

男子U22日本代表チーム スプリングキャンプ2019 候補選手30名

ナナーダニエル弾(PF C/青山学院大)
鈴木悠介(PF/法政大)
中村太地(PG/法政大)
笹倉怜寿(PG/東海大)
野口拓馬(C/九州共立大)
森下魁(C/筑波大)
盛實海翔(SG/専修大)
前田怜緒(SF/白鷗大)
星野曹樹(PF/白鷗大)
中村浩陸(PG/大東文化大)
平岩玄(C/東海大)
増田啓介(SF/筑波大)
菅原暉(PG/筑波大)
吉井裕鷹(SF/大阪学院大)
小酒部泰暉(SG/神奈川大)
赤穂雷太(SF/青山学院大)
三森啓右(C/筑波大)
西田優大(SG/東海大)
飴谷由毅(SG/大東文化大)
井上宗一郎(C/筑波大)
大倉颯太(PG/東海大)
宮本一樹(PF/早稲田大)
八村阿蓮(PF/東海大)
原大晴(C/日本大学)
松崎裕樹(SF/福岡第一)
和田蓮太郎(SF/開志国際)
浅井修伍(PF/福岡大学附属大濠)
富永啓生(SG/桜丘)
中村拓人(PG/中部大学第一)
市川真人(C/静岡学園)