「『この経験から学べる』と言うことは簡単だけど、負けはつらい」

ペイサーズは、セルティックスとのカンファレンスファイナル第4戦に102-105で競り負け、痛恨の4連敗でシリーズ敗退が決まった。

ペイサーズは4年ぶりのプレーオフ進出を果たすと、ファーストラウンドでバックスを4勝2敗、カンファレンスセミファイナルでニックスを4勝3敗で撃破。2014年以来となるカンファレンスファイナル進出を果たした。しかし第2戦の途中で負傷し、第3戦、第4戦を欠場した司令塔タイリース・ハリバートンの大きな穴を埋めることはできなかった。

1月中旬のトレードでラプターズから加入したパスカル・シアカムは、このポストシーズンの全17試合に出場し、平均21.6得点、7.5リバウンドと、ともにチームトップとなる数字をマーク。ハリバートンと並ぶ大黒柱としてチームを牽引した。レギュラーシーズンでも41試合出場で平均21.3得点、7.8得点、3.7アシスト、3ポイントシュート成功率38.6%と活躍。今夏にFAを控える状況で彼を獲得した、首脳陣の期待に応えるパフォーマンスを見せた。

新天地で充実の日々を過ごしたシアカムは、次のようにシーズンを振り返る。「シーズン途中からの加入だったけど、チームとして毎日成長していくことができた。シーズンの終わり方は不幸な形となってしまったけど、これまでの戦いぶりには誇りを持っている」

そして、ファイナルの大舞台を目前にしての敗退に「『この経験から学ぶことができる』と言うことは簡単だけど、負けはつらい」と率直な気持ちを明かした。

「何故なら、僕たちがどれだけハードワークしてきたのか、負けた試合がどれだけ僅差の戦いだったのかを分かっているからね。そして、この位置に再びカムバックするのが大変なことも分かっている。もちろんセルティックスを賞賛すべきだ。彼は僕らのミスで得たアドバンテージをしっかりと生かした」

プロ入りの2016年から在籍していたラプターズからの放出は、シアカムにとって大きな出来事だった。「自分がキャリアを通して在籍すると思っていたチームを去ることになったのは大変だったよ。僕はとてもポシティブな人間だし、家族がたくさんサポートしてくれたけどタフだった」と当時の心境を振り返るが、ペイサーズの手厚いサポートによって立ち直ることができたと強調する。

「いろいろなものを犠牲にして尽くしてきた場所との関係は壊れたけど、加入してきた僕に対してたくさんのサポートをしてくれたことに感謝している。このチームの一部になれたことはハッピーだった。サポートは素晴らしく、とても感動した。このチームに来た最初の日から今まで、何か良くしてほしいと要望を出すことはなかったんだ」

今夏、シアカムはFAとなる。リーグ屈指のオールラウンダーである彼はFA市場の目玉だ。会見でも去就について質問が出たが、当然のように明言は避けた上で次のように語っている。

「今、言えることは感謝だ。チームのサポートだけでなく、この街がどれだけバスケットボールを愛しているのか知ることができた。ホームゲームの雰囲気は本当に素晴らしい。今後はなるようにしかならないよ」

ハリバートンとの相性も含め、シアカムは間違いなくペイサーズにフィットしていた。ペイサーズが契約延長を打診することが確実視される中、彼がどんな決断を下すのか注目だ。