マイク・ブラウン

『西高東低』、46勝を挙げるもプレーオフ進出を逃す

2022年のオフにキングスのヘッドコーチに就任したマイク・ブラウンは、1年目の2022-23シーズンにチームを17年ぶりのプレーオフに導き、2度目のNBA最優秀コーチに輝いた。

就任2年目の今シーズン、キングスは勝ち星を2つ減らして46勝36敗に。ただ、48勝の昨シーズンには西カンファレンス3位だったが、今シーズンは9位まで順位を落とし、プレーイン・トーナメントでペリカンズに敗れてプレーオフ進出を逃した。46勝を挙げてプレーオフを逃すのは、西カンファレンスのレベルが高すぎるという点でキングスとブラウンにとって不運であり、ケビン・ハーターとマリーク・モンクの主力2人を欠く不運も重なった。

ブラウンはキングスと4年契約を結んでいるが、4年目は相互オプションのため実質的には残り1年で、今オフが契約更新の時期となる。シーズン最後の会見で「契約交渉を意識しているか」と問われたブラウンは「ノー」と即答し、「契約は残っているから心配していない。来シーズンにどうすればチームを良くできるかを考えてオフを過ごすつもりだ」と続けた。モンテ・マクネアGMは「(プレーオフ進出を逃した直後の)今は失望が大きいが、この2年間はポジティブなことがほとんど。マイクとは腰を落ち着けて、チームを良くするための話し合いをしたい」と語った。

シーズン終了の時点でブラウンの契約は延長されるものと考えられ、ファンの関心は契約満了を迎えるマリーク・モンクの去就へと向いていた。ところが、フリーエージェント解禁よりずっと早く、ブラウンの去就が問題となった。『ESPN』がキングスとブラウンの契約延長交渉が難航していると報じたのだ。

ブラウンの現在の年俸は500万ドル(約7億5000万円)で、この2年で成果を出しているため、大幅な昇給は必然となる。この1年でNBAのコーチの年俸は高騰しており、カーにポポビッチ、モンティ・ウィリアムズにマイク・ブーデンフォルツァーと1000万超えの契約が次々と誕生している。ブラウンがこのレベルの契約を要求しているのに対し、キングスのフロントは応じていないという。

ブラウンからすれば、プレーオフに行けなかった17年間でヘッドコーチを11人入れ替えたチームを成功に導いた実績が評価され、コーチの年俸が高騰している市場動向も反映してほしいと願うのは当然のことだ。一方でキングス側は1年目の成功は評価しつつ、2年目に成長が鈍化していることを大きなマイナス要素と見ている。西カンファレンスの競争が厳しすぎるのはブラウンの責任ではないが、グリズリーズが復活し、ロケッツとスパーズもプレーオフを争う位置に上がってくるであろう来シーズン、『西高東低』はより厳しくなると予想される。

キングスがブラウンよりも優れたコーチ、あるいは同じレベルのコーチを探し出すのは見込み薄だ。契約はまだ残っているから、もう1年を『様子見』する可能性はあるが、基本的にコーチは実質残り1年を迎える前に契約延長を結ぶ。任期が残りわずかな立場では、選手がコーチを信頼できないからだ。キングスとブラウンの駆け引きはまだしばらく続くだろうが、あまりにも決着が長引くと来シーズンに向けたチーム作りに支障が出ることになりそうだ。