佐々ヘッドコーチ「緊迫した場面で最後までどうやって戦っていけるかというのが大事」
B1第34節の第2戦、レギュラーシーズンのホーム最終戦となった宇都宮ブレックスは勝利すれば東地区優勝が決まるアルバルク東京との一戦に61-70で敗れた。序盤こそリードを奪ったものの、逆転された後は終始追いかける展開に。何度も追い上げ終盤まで肉薄したが、惜しくも勝利には届かなかった。
試合後に佐々宜央ヘッドコーチは「相手に流れを少しでも与えてしまうとやられてしまう状況でした。シュート確率が上がらない苦しい展開の中でも、乗り越えようと工夫していました。オフェンスはもっと流れをよくやれることがあるとコーチとしては感じることがあるので、チャンピオンシップ(CS)に向けてしっかり改善していきます」と悔しさを滲ませながらも前を向いた。
まず勝負の肝として佐々ヘッドコーチが振り返ったのがリバウンドだった。トータルリバウンドは宇都宮が41本、A東京が43本と大きな差はないものの、A東京に15本のオフェンスリバウンドから22点ものセカンドチャンスポイントを奪われた。「これだけリバウンドを取られてしまうとオフェンスも停滞してくる部分があります。セバスチャン・サイズがいない中でも取れなかったのは反省することがあります」
それでも、宇都宮のギャビン・エドワーズとグラント・ジェレット、アイザック・フォトゥら3人のビッグマンはそれぞれ7リバウンドを獲得しており、インサイドでの奮闘は目立った。特にジェレットは4本のブロックショットも記録と、インサイドで存在感を示し会場を沸かす活躍をしていた。ジェレットは「A東京との試合では常にリバウンドはタフな状況になります。こういう試合ではビッグマンだけでなく、チームとしてリバウンドを争っていかないといけません」と、チーム全体でリバウンドを意識することが大事と強調した。
もう1つ、勝負の明暗を分けたのが、3ポイントシュートの成功率だ。今シーズンの宇都宮は総得点のうち3ポイントシュートの締める割合が42.9%とリーグの中でダントツに高く、重要な得点源となっている。しかしこの試合では28本中7本成功(25.0%)と成功率が伸びなかった。
個人として5本中1本の成功に終わったジェレットは「入る試合もあれば入らない試合もあります。今日はそこの打開策が見つけることができませんでした。こういう時は簡単な得点を取っていかないといけません。インサイドにアタックしてキックアウトするなどできることはあったと思います」と振り返った。
佐々ヘッドコーチも「相手のゾーンディフェンスに対して、昨日はD.J(・ニュービル)や(比江島)慎のプルアップに頼っていましたが、今日はそこが入りませんでした。コーチとしてはそこの準備に反省があります」と語り、こう続けた。「そこの調子が出なかったからこそ、ポケットに入れて分散するなどすればよかったです。ボールを回そうという意識がなかったわけじゃないですが、シュートが入らないという感情をこっちもうまくコントロールしてあげられなかったです」
宇都宮はレギュラーシーズン4試合を残してリーグ首位を走っており、チャンピオンシップ(CS)出場はすでに確定している。佐々ヘッドコーチは「緊迫した場面でチームとして最後までどうやって戦っていけるかというのが大事だと思います。CSではこういう試合を勝っていかないといけないです。ここからはまた違った世界なので、しっかり準備してやっていくしかないです」と先を見据える。
ジェレットも「今日は成功率が上がりませんでしたが、高いシュート確率が今シーズンの自分たちの武器だと思っています。チームとしてオフェンスの連動性やディフェンスの一体感が出せれば良いゲームができます」とチームスタイルに自信を持つ。そして「CSのタイミングで、チームとして一番良いパフォーマンスをすることが鍵になると思います。チームとして残りの4試合を戦っていくことが大事です」と、個人としては初めてのCSに向けて意気込んだ。
ジェレットは昨シーズン途中の難しいチーム状況の中で加入し、思い描いた結果には至らなかった。だからこそ今シーズンにかける思いと勝利への貪欲さは大きいだろう。会見では冷静に受け応えながらも、この敗戦に対する悔しさと今後のさらなるステップアップを誓う思いが感じられた。強固なディフェンスを誇る宇都宮にとって、なくてはならない存在となったジェレットの躍進に期待したい。