「イップスを経験されてる方に相談した時期もありました」
渡邊雄太が日本に帰国し、都内で会見を行った。
渡邊は冒頭で、「6年間のNBA生活、そして11年間のアメリカ生活に終止符を打ち、日本に帰ってくることを決断しました。楽しいこともたくさんありましたし、辛いこともたくさんありましたが、小さい頃に夢見たNBA選手になるという夢を叶えることができ、本当に最高で楽しい6年間だったのは間違いないかなと思っています」と、大学を含めたアメリカでの生活を振り返った。
渡邊は20日にインスタライブを実施し、これまでとこれからについて赤裸々に語った。シーズン途中にサンズからグリズリーズに移籍し、その後『個人的な理由』で欠場が続いていたが、メンタル面の理由だったと明かした。復帰戦で自分なりに手ごたえをつかんだものの、次の試合直前にコーチから試合に使われないことを告げられ、そこで張りつめていた糸が切れた。
「体中の水分が全部なくなるくらい、自分でも引くくらい泣いた。本当に自分が楽しめる環境でやるのがいいのかなとそこで思った」
考えがまとまった具体的な時期は2月中旬と明かした。その後、練習はできてもコートに出ると身体が動かなくなる症状が出たことで、その後のシーズンを全休した。以前も精神的なことが理由で身体に何らかの症状が出たことはあったという。
「今回ほどではないですけど、昔も身体に症状が出た時はあって、別の競技ですけどイップスを経験されてる方に相談した時期もありました。どちらかというと、自分の弱さを見せるタイプじゃないというか、あまり人に対して見せたくないので、それでしんどくなった部分はあったかと思います」
そして、言語や文化の違う異国の地でプレーすることの大変さを痛感したからこそ、最も安心してプレーできる日本を次なるステージに選んだ。ここで気になるのは、Bリーグのどのチームを選択するかだが、「自分のことを本気で欲してくれるチーム」と話し、具体的な内容には触れなかった。
渡邊はディフェンスと3ポイントシュートを武器とする、いわゆる『3&D』プレーヤーとしてNBAでの地位を築いた。「もちろん、チームの方針に従うつもりなので、日本に帰るからと言って自分のエゴを通してプレーするつもりはない」と言うが、日本ではオールラウンドな選手としてさらに大きな責任を背負うつもりだ。
「NBAではまず3ポイントとディフェンスをやらなきゃいけない立場だったんですけど、日本ではそれ以上のことをやっていけたらと思っています。ハンドラーとしてもやっていきたい気持ちもありますし、スコアラーとしてもやっていきたい。エースストッパーとしてもやっていきたいですし、すべてのことを1番高いレベルで求められるプレーヤーになりたいです。それが自分の成長にも繋がっていくんじゃないかと思っているので、今までNBAでやれていなかったことを日本ではやっていきたいです」
渡邊がどのユニフォームを着るかとともに、オールラウンドプレーヤーを目指す彼がどのポジションでプレーするのか。しばらく、渡邊の動向から目が離せない。