富樫勇樹

文=バスケット・カウント編集部 写真=小永吉陽子

「できることならイランで出場を決めたい」

トルコでの直前合宿を終えた日本代表は、いよいよ運命のイラン戦を迎える。

ポイントガードの富樫勇樹は「直前に長時間の移動をしないで済んでいるので、コンディションのところで助かっています。チームとしてトルコで良い練習ができて、試合に向けて良い準備ができています」と、心身ともに仕上がりは順調だ。

イランは長年チームを支えてきたハメド・ハダディやサマド・ニックハ・バハラミらベテランを招集すると噂されていたが、メンバー入りには至っていない。結果的に、前回日本で対戦した時と同じようなメンバー構成になった。

富樫も「あの時のイメージがあるので」と、70-56で勝利したホームでの良いイメージを抱いていると言う。

イラン戦を終えれば、すぐに予選最後の試合となるカタール戦が待ち受ける。それでも富樫は「イランの試合にとりあえず集中したいというのが自分の中であり、できることならイランで出場を決めたい気持ちがある」と、イラン戦に懸ける思いは強い。

だが、長年アジアの強豪として名を馳せたイランを倒すのは容易ではなく、日本の永遠の課題であるリバウンドが勝利のカギを握るという。「毎回言われてますけど、リバウンドだろうなって。監督も含め、みんな認識しているので、その意識の徹底をしなきゃいけないです」

比江島慎

「アウェーで勝つことが日本が成長した証」

もしイランに敗れたとしても、その時点でワールドカップ出場への道が閉ざされるわけではない。それでも、得点源としてここまで10試合すべてに出場してきた比江島慎は「自力で決められるところまで来たし、完全なアウェーな状況で勝つことが、何より日本が成長した証だと思う」と、自らの手で出場権をつかむことに意味があると意気込む。

さらに「前回は(八村)塁と(渡邊)雄太がいて、その2人がいたおかげで勝ったと言われたくない」と、ここまで日本を牽引してきたエースとしての気概を見せた。

前回のイラン戦では、70点中43点を八村と渡邊の2人で記録している。そのため、2人の不在が大きな戦力ダウンになることは否めない。それでも比江島は「難しい戦いになるとは思う」とそのことを理解した上で、「自分がその分引っ張らないといけないと思うし、そこ(得点面)もしっかりやって勝ちたい」と、最後までスコアラーとしての意地を貫いた。

試合は今夜、23時30分ティップオフとなる。