「のめり込んでいる人は、ギャンブルで稼いだお金で家賃や電気代を払っている」
NBAはレギュラーシーズンも残りわずかとなり、いよいよ終盤戦へと突入している。これからはより1試合の勝ち負けの重みが増し、選手、コーチたちはより多くのプレッシャーを受けることになる。
特に現在のNBAでは、SNSを積極的に活用している選手が多く、それ故に余計な雑音が耳に届きやすい。そんな状況において、先日ペイサーズのタイリース・ハリバートンは自身が賭けの材料としか見られていないと告白。「誰も僕たちの気持ちについて気にしていない。世界の半分の人々にとって、僕は(スポーツ賭博大手)ドラフトキングとかを使って金儲けをする手助けをしているだけなのさ」と語り、アスリートたちはスポーツ心理学者に相談することが重要と主張した。
アメリカではラスベガスを筆頭にスポーツ賭博は多くの地域で合法となっており、スポーツチームの勝ち負け、どの選手が何点取るか、取らないかといったベッティングを多くの人が気軽に行うことができる。その結果、カジノと同じくギャンブル依存症の人が当然のように参加する。そして、自身が趣味として使える範囲を逸脱した金額を賭けている人たちは、選手たちをベッティングの対象としか見ず、意味無名な罵詈雑言を投げかけたりする。
ハリバートンの提言に賛同しているのが、キャバリアーズのJ.B.ビッカースタッフヘッドコーチだ。キャブズの本拠地ロケット・モーゲージ・フィールドハウス内には、スポーツ賭博ができる施設も入っていて、指揮官はかつて脅迫を受けた経験があると明かす。
「彼らは私の携帯電話の番号を手に入れて、私がどこに住んでいるか、子供についてなど、クレイジーなメッセージを送ってくる。これはとても危険なゲームで、私たちはとても微妙なラインの上にいる」
スポーツ賭博は、少なくない人々が楽しむことで大金が動く。その結果、地元自治体にも税金として多くの富が分配される。だが、そういったプラス面があっても依存症など無視できないマイナス面は存在している。
ビッカースタッフHCは次のように警鐘を鳴らす。「賭博を行なっている人たちが試合とそれに携わる人たちに、どれだけ近づいているのかに注意を払わないといけない。何故なら多くの場合、のめり込んでいる人はギャンブルで稼いだお金で家賃や電気代を払ったりしているからだ」
NBAや複数のチームは前述したドラフトキングなどスポーツ賭博を展開している企業とスポンサー契約を結ぶなど、ビジネスパートナーとして深く関わっている。それでも、選手や関係者がストレスを軽減できる体制作りは必要なはずだ。