ダニエル・ギャフォード

直近の4試合で28本のフィールドゴールをすべて決める

マーベリックスのダニエル・ギャフォードは図らずもNBA記録に挑むことになった。トレードデッドラインにウィザーズからマブスにトレードとなった彼は、高さと運動能力で戦えるセンターを必要としていた新天地にすぐさまフィットし、直近の4試合で28本のフィールドゴールをすべて成功させている。

28本連続成功は1997-98シーズン以来の記録で、ウィルト・チェンバレンの持つ35本連続成功のNBA記録に近付きつつある。ギャフォードは2巡目指名でNBAに入った選手であり、これまで優勝争いに身を置いたこともなく、個人賞とも無縁。あくまで『脇役』の選手だ。

突如として『NBAのレジェンド』であるチェンバレンと比較されることになった状況を、ギャフォードは当惑しつつも楽しんでいる。「僕の考え方はいつでも同じ。誰が相手でも自分の仕事を最後までやり遂げる。その結果としてダンクが決まったり、いきなり記録に近付いていたりするのは面白いね。それでも僕は今まで通り前に進み続けるだけ。ただ競い合い、勝つことを目指して、プレーを楽しみたい」

ギャフォードは「練習でも28本連続では決まらないよ」と笑い、「それでも、大事なのは自分の仕事をすること。どんな状況であれ、そう意識していく」と続けた。

もともとギャフォードはキャリアを通じてフィールドゴール成功率が70.6%と高い。これまで1500本以上のフィールドゴールを放っているが3ポイントシュートは1本だけ。ジャンプシュートを打つこともほとんどない。今シーズンのショットチャートを確認すると、今シーズンここまで放った362本のシュートのうち、302本はリムから5フィート(約1.5メートル)以内から放ったもの。シュートを厳選し、無理だと判断すれば打たない。ダンクやレイアップなど確実なチャンスを確実に決めていくのが彼のスタイルだ。

マブスに加入してからまだ13試合しかこなしていないが、ウィザーズでは69.0%だった彼のフィールドゴール成功率は76.6%に跳ね上がっている。リーグ最高のクリエイターであるルカ・ドンチッチとピック&ロールを行い、同じようにチャンスを作るカイリー・アービングもいるマブスで、ギャフォードの効率の良さはさらに際立つようになった。「ルカもカイリーも、僕がどこにいるかを常に把握している。僕は僕らしいプレーをしていれば、それで良いのさ」とギャフォードは言う。

スター選手ではないギャフォードが『レジェンド』であるチェンバレンの記録を抜くとは誰も想像していないだろうが、だからこそ彼も無用の気負いがなく次の試合を迎えられる。現地3月13日の対戦相手はウォリアーズで、伝統的なビッグマンのいないスモールバスケットのチームだけに彼の力は発揮しやすい。ドンチッチやアービングと組み、彼らしい冷静な判断を続けられれば、ギャフォードは望外の結果を出すかもしれない。