マイルズ・ターナー

地元凱旋のマイルズ・ターナー「楽しくプレーできた」

今シーズンのペイサーズは、エースのタイリース・ハリバートンに足並みを揃えるように強豪へと変貌し、前半戦のインシーズン・トーナメントでのファイナル進出など印象深い成功を収めてきた。地元インディアナで開催されたNBAオールスターではハリバートンだけでなくマイルズ・ターナーやベネディクト・マサリンも活躍。移籍市場ではパスカル・シアカムを獲得するなど、飛躍の年を迎えている。

この成功を支えるのは、ハリバートンを中心にハイテンポかつチームでボールをシェアする多彩なオフェンスだ。テンポを上げればパスを繋ぐ回数は減り、少しでも呼吸がズレるとパスが合わずにターンオーバーになるものだが、ペイサーズは長い時間をかけて築いた連携を生かし、そのスタイルを極めて上手にこなしている。

だが、ここ2試合は自慢の連携がブラックアウトし、ペリカンズとスパーズに連敗。チームの中心であるハリバートンがリズムに乗れないと、チームも崩れてしまう弱点が露呈した。

こうして迎えた敵地でのマーベリックス戦でペイサーズは立ち直った。どちらもオフェンスのチームである両者は点を取り合い、前半を終えて74-70とハイスコアの展開に。マブスはエースのルカ・ドンチッチが絶好調だったが、ペイサーズは後半に一度もリードを失うことなく、137-120の勝利を収めた。

ペイサーズを率いるリック・カーライルはドンチッチへの対応を勝因に挙げた。カーライルは2021年までマブスのヘッドコーチを務め、ドンチッチのプレーについては熟知している。だが、ドンチッチへの対応は『当たり前のことを徹底的に』だった。「彼がもっと動き回るように、もっとスクリーンを使わなければいけないように、動きながらでなければボールを持てないように仕向けた」

ドンチッチのマークを担当したのはアーロン・ネスミスであり、ネスミスがベンチに下がる時にはルーキーのベン・シェーパードが引き継いだ。正しいディフェンスを徹底しても止められないのがドンチッチで、39得点10リバウンド11アシストのトリプル・ダブルを記録。それでもドンチッチをフィールドゴール9本中2本成功の7得点と封じた第3クォーターにペイサーズはマブスを突き放し、15点前後のリードを保ったまま試合終了まで耐えきった。

ネスミスは言う。「ドンチッチはプレータイムが長い。プレーしっぱなしで大きな役割をずっと担い、簡単なシュートを決め、難しいシュートも決めてくる。僕としては、彼にタフショットを決められても落ち込まず、ただ彼にハードなプレーを強いた。それを続けていけば、僕らに有利な状況が訪れる」

リムプロテクターとしてネスミスと連携してドンチッチに対応したターナーも「僕たちはずっと集中を切らさなかった」と言う。「ルカが、カイリー(アービング)が点を取るのは分かっていた。彼らを簡単にはプレーさせず、スローダウンさせて、他の選手に活躍させない。それが僕らのやり方だった」

そのターナーは、ダラス近郊のベッドフォード出身。地元でのゲームではいつも気合いが入ると言う。サンアントニオとダラスでの2試合は、彼にとって特別なものだった。「とにかく積極的に、楽しくプレーできたよ」とターナーは言う。「テキサスに帰ると愛情を思い出せる。多くの人が僕の応援に来てくれる。今までの最高は1試合70人だったけど、今回はもっと多かったかもね」

ドンチッチはトリプル・ダブルを記録したが、得失点差は-39とひどい数字だった。一方でハリバートンは19得点11アシストを記録したものの、不調からようやく抜け出したところ。エース対決ではドンチッチが上だったが、ペイサーズがチーム力で上回った。カーライルは会心の笑みとともにこう語った。「ルカのスタッツを見ればどう対応すればいいか分からずパニックになる。だから大事なのは、彼のスタッツを見るのではなくゲームを読むことだ。小さなことに気を配り、集中することで、バスケの神様は光を当ててくれるものだ。我々はそうやって前に進みたい」