平下愛佳

「恩さんのバスケに合ってるんじゃないかと思います」

2月8日からハンガリーで開催される『FIBA女子オリンピック世界最終予選(OQT)』に向かう女子日本代表が、1月26日、味の素ナショナルトレーニングセンターで公開練習を行った。この公開練習で、1月10日からの第5次強化合宿参加メンバーから木村亜美、藪未奈海、朝比奈あずさ、絈野夏海の落選が落選し、本戦メンバーは合宿に参加していない馬瓜ステファニーとオコエ桃仁花を含む、16人に絞られたことが明らかになった。

2022年のワールドカップで最年少メンバー入りしたシューティングガードの平下愛佳は、この16人のメンバーに残っている。最終メンバーは同日時点でまだ未定。「まだ選考も終わってないですし、 まだ(本番に向けて)すごく緊張してるとかはないんですけど、『メンバーに残らなきゃ』でなく『自分のやれることを精一杯出すしかない』って思いながら、今はとにかく1日1日、全力出し切ろうっていう気持ちで練習しています」と心境を語った。

トヨタ自動車の選手ページに添えられたキャッチコピーは『速攻の先頭は任せてください!3P職人』。精度の高いアウトサイドシュートと豊富な運動量を備える平下は、第5次合宿前に恩塚亨ヘッドコーチが掲げたチームコンセプト『走りきるシューター軍団』をキャッチーに体現する存在だ。

平下自身も「走って点を取るのも好きだし、3ポイントで点を取ることも好きなので、 恩さんのバスケに合ってるんじゃないかと思います」と話し、第5次合宿からのオフェンスシステムの変化について「コーナーステイだけでなく、コーナーからコーナーに走ったりするプレーが増えて、シューター陣の運動量は増えたと思います」と説明した。

平下愛佳

無得点に終わったアジアカップ中国戦を糧に成長

システムの中身に変化はあれど、女子日本代表の生命線は東京五輪から変わらず3ポイントシュートと速い展開。シューターが対戦国から徹底的にマークされることが予想される中で、平下はいくつかの対処法を挙げた。

1つに、オフェンスが始まる一瞬の走り出しで勝つこと。1つに、ヘルプディフェンスに行かず張り付き続けるマークマンをショットクロックギリギリまで振り切ること。「海外の大きい選手に比べたら足もあるし、動けると思うので、そこの機動力でノーマークを作れればいいかなと。ショットクロックの最後の最後まで顔や声を出して合わせるところを今すごく練習しているので、意識しています」

2022年ワールドカップ、2023年アジアカップと連続してフルメンバーに名を連ね、着実にキャリアを積み上げている平下だが、ネガティブな意味で忘れられない試合がある。アジアカップ決勝の中国戦だ。中国の大型選手のディフェンスに対応できず、出場7分、3ポイントシュートアテンプト1本の無得点に終わった。

「中国は高さもあって、ボールを持っても打てる間合いじゃないということが何回かありました。(フル代表入りしてからは)シュートタッチが良い試合が多くて、めちゃめちゃダメだったなっていう試合はあんまりないんですけど、中国戦は3ポイントを打たせてもらえなくて、そのフラストレーションが後半出てしまいました」

このような苦い経験を受け、平下は機動力でマークを振り切る、1対1の状況になるまでにシュートを打つ、最後の1秒までシュートチャンスを模索するといった意識を携えて日々の練習に取り組んでいる。

29日に出国した日本代表の最終メンバーは情報戦の一環で明らかにされていないが、中国と同様に大型選手が多数揃うOQTの各ゲームでも、平下が磨いてきたものはしっかり生きてくるだろう。同世代の河村勇輝や富永啓生も、ワールドカップ期間中に急成長した。チーム最年少の平下がOQTのキーマンとなることに期待したい。