元田大陽

「プロの舞台に立つことができて、すごくホッとしています」

秋田ノーザンハピネッツは1月26日、27日と川崎ブレイブサンダースに連敗。スティーブ・ザックのインジュアリーリスト入り、古川孝敏と赤穂雷太の両ウイングも欠場と苦しい台所事情だったとはいえ、リーグ戦5連敗中だった川崎に痛い連敗を喫し、16勝17敗と勝率5割を切ってしまった。

ここに来て離脱者が増え苦境に陥っている秋田だが、今節には明るい話題もあった。それは25日に特別指定選手での加入が発表されたばかりの東海大4年、元田大陽の存在だ。26日の初戦では17分19秒の出場でいきなり10得点をマーク。翌27日は6分33秒、0得点に終わったが、東海大で磨きをかけた激しいディフェンスと思い切りの良い3ポイントシュートで、即戦力としての可能性を示す、上々のプロデビューとなった。

「まずは自分の目標だったプロの舞台に立つことができて、すごくホッとしています。また、自分の良さをしっかり出せたことは良かったです」

このようにプロデビュー戦について元田は振り返る。また、26日に初めてのベンチ登録からいきなり多くの出番を得たことについて、心構えはできていたと明かす。「前日練習でフルさん(古川)が出られないことが分かり、(前田)顕蔵さんにもチャンスは全然あるぞって言われていました。 本当にいつでも行ける準備はしていました」

そして秋田を選んだ理由について、「自分のプレースタイルにとてもフィットしそうだと思いました。それに、やっぱりサイズがなくても勝率を上げていて、見ていてプレーしたいチームでした」と語り、自身の感覚が正しかったことを早速、証明する格好となった。

元田大陽

「相手がスカウティングをしてきた時、そこで頭を使ってしっかりした判断を」

デビュー戦で数字を残したことに「自信がつきました」と元田は手応えを得たが、同時に現状を冷静に把握できている。「でも最初はスカウティングもされていない状況なので、思い切り自分の良さを出せば、できるところはあったと思います。相手がスカウティングをしてきた時、そこで頭を使ってしっかりした判断ができるようにしていきたいです」

元田が4年間プレーした東海大は、大学バスケ界でも屈指の強度を誇るディフェンスが持ち味であり、元田もフィジカルはしっかりと鍛えてきた。だが、この2試合において、川崎の外国籍フォワードであるトーマス・ウィンブッシュとのマッチアップも経験し、あらためてプロのレベルの高さを実感したと明かす。

「本当にレベルが1段も2段も上がって、やっぱり大学とは全然違います。これからもっと身体を作らないといけないです。そしてチーム内に、フルさんやタクさん(中山拓哉)だったり、学ぶことが多い選手がたくさんいます。皆さんから学び、自分も外国籍選手につけるように頑張っていきたいです」

ベンチ登録された初戦の2桁得点は言うまでもなく見事なスタートだ。しかし、「もう終わったことです」と元田が余韻に浸ることはない。今は何よりも危機感を強調している。そこにはこれからの残りシーズンで少しでも多い時間コートに立ってチームに貢献したい。ルーキーだからベンチで試合を見て、学ぶことができれば良いという姿勢では全くないからだ。

元田は語る。「すぐに(欠場している)ペリメーター陣は戻ってくる状況です。だからこそ、これからの数試合が自分にとってアピールできる本当のチャンスです。ここでしっかりと結果を出していきたいです」

チーム力の底上げには、チーム内における激しい競争が大事な要素だ。チームに合流したばかりのルーキーだからと臆することなく、貪欲にプレータイムを求めていく元田の姿勢は、コート内外で秋田を刺激するエナジーを与えてくれるはずだ。