へナレHC「ケイは非常に賢く、チームから求められていることを自分で気づくことができる」
島根スサノオマジックは横浜ビー・コルセアーズとの第1戦に98-86で勝利し、20勝目(12敗)を挙げた。
ペリン・ビュフォードが29得点12リバウンド9アシストと、ほぼトリプル・ダブルのスタッツを残せば、安藤誓哉が出血の治療もあり、23分弱のプレータイムに留まりながらも16得点5アシストを記録した。そして、32分強と最もコートに立ち続けたニック・ケイは21得点9リバウンド3スティールを挙げて勝利に大きく貢献した。
ケイはフィールドゴール成功率66.7%という効率の良さで21得点を挙げながらも「誓哉がアドバンテージを取れるようにスクリーンをかけたり、他にも良い選手が揃っているので、チームにとって一番良いチャンスを作っていきたいと思っただけです」と言い、自身のパフォーマンスを過大評価しない。
指揮官のポール・ヘナレは「非常に賢く、チームから求められていることを自分で気づくことができる選手」とケイに抜群の信頼を寄せる。現在の島根は谷口大智を4番で起用し、ケイが5番にコンバートすることで、ビュフォードの良さを最大限に生かすことができる。このことからも、ケイが島根の強さを支えている屋台骨であることが分かる。へナレヘッドコーチは言う。
「良いスクリーンをかけることができ、(スペースを広げる)スペーサーとしての役割も担っています。(戦線離脱中のウィリアムス)ニカがいる時は主に4番でプレーをして、スペースを取ったりゲームメークをしてくれますが、今は谷口選手がプレーするので、5番でプレーしています。スクリーンをかけたり、ピック&ポップで攻めるなど、常に我々が何を必要としているかを理解している選手です」
「慢心せずにこのまま積み重ねて、優勝を狙いたい」
島根は冒頭に紹介した3人の平均プレータイムがいずれも30分を超え、『ビッグ3』を中心としたチーム作りで強豪の座をつかんだ。それはヘナレヘッドコーチの「『ビッグ3』に頼らなければいけないところもある」との言葉からも明らかだ。この試合も3人が持ち味を発揮したことで、横浜BCを相手に最大25点ものリードを得た時間帯もあった。
それでもケイは「ディフェンスでもっと一貫性を持ち、ボールを大切にしなければいけない。リードを広げるチャンスがあったのに、ターンオーバーのせいで失速してしまった」と反省点を探した。ただ、自分を含む『ビッグ3』の破壊力にはそれなりの自負がある。
「僕たちは勝ちたいですし、毎日努力しています。この3年間、クラブとしてリーグでも良い位置にいますし、慢心せずにこのまま積み重ねて、優勝を狙いたいです。我々3人はプレータイムが長いですが、僕たちがポテンシャルを発揮できれば、優勝も可能だと思っています」
ケイはここまで32試合すべてに先発出場し、平均33.11分のプレータイムで17.8得点、8.8リバウンド、3.5アシスト、3ポイントシュート成功率39.9%と見事な成績を残している。特筆すべきは、数字を稼ぐためのセルフィッシュなプレーではなく、チームプレーを重視したスタイルでこのスタッツを残していることだ。
ケイは「自分がもっとアグレッシブにプレーしなければいけない時間帯もあると思います」と言うが、何よりもチームとしての成功を心から願っている。「周りの選手たちに参加させたい気持ちが強く、グループとして良いプレーができればと思っています。私が活躍するよりも他の選手が良いプレーをしたほうが全体としては良い。『数名のベスト』がいるのではなく、『ベストチーム』になりたいです」
スター選手を集めたとしても、そのチームが優勝できないことはNBAや違うスポーツでも散見されている。それは、ずば抜けた能力を持つ『個』が一つになれず、『集』になれなかったから。得点ランキング3位の安藤、Mr.トリプル・ダブルの異名を持つビュフォードがそれぞれ持ち味を発揮できているのは、チームファーストの精神で俯瞰的にプレーできているケイの献身性があるからこそだ。