ルカ・ドンチッチ

コービーの死から4年目の日「特別なことだ」

コービー・ブライアントが事故で亡くなったのは2020年1月26日。その4年後の1月26日、コービーの81得点に続くNBAの得点記録が生まれた。主役はマーベリックスのルカ・ドンチッチだ。

敵地でのホークス戦、試合開始からドンチッチは自由自在に攻めた。リズムに乗ったドライブで自分のマークをかわし、ゴール下で待ち構えるクリント・カペラをも簡単にかわして、シュート練習のようにリラックスして放っては決めていき、アシストを重ねていく。第1クォーターで11本中8本のシュートを決めて18得点、第2クォーターには10本中8本を決めて23得点。第3クォーターはややペースを落としてシュート5本中4本成功の16得点。そして第4クォーターは7本中5本成功の16得点。

かくしてドンチッチは、フィールドゴール33本中25本成功、フリースローは16本獲得して15本を決め、73得点10リバウンド7アシストを記録した。1962年のウィルト・チェンバレンによる1試合100得点が歴代最多で、2位がコービーの81得点。1961年のチェンバレンの78得点がこれに続き、そしてドンチッチの73得点が新たな歴代4位の最多得点となる。

コービーの命日に、コービーを彷彿とさせる記録を叩き出したことにドンチッチは「特別なことだ。僕らはみんなコービーのことが大好きで、あの事故で心を痛めた。もう4年になるけど、彼がまだいてくれたらと思うよ」と語る。

ホークスのエース、トレイ・ヤングは「彼はホットだった。何とか勢いを落とそうとあらゆることを試したけどダメだった」と脱帽した。これだけのパフォーマンスを見せられると、たとえ対戦相手でも称えるしかない。アトランタのファンも、応援するチームが敗れたにもかかわらず、コートを去るドンチッチをMVPコールで見送った。

マブスを率いるジェイソン・キッドは「今日はケガ人が多く、ルカには40得点か50得点してもらわないと勝てないと言っていたんだが、それどころじゃなかった」と笑う。「シュートを生み出す能力、シュートを決める能力、空いている味方を見つける能力。今日の彼はそのすべてを最高のレベルでやってのけた。ただ、今日が特別なわけじゃない。彼はどの試合でも何か特別なことをやっている」

マブスはカイリー・アービングとドワイト・パウエルが欠場し、デリック・ジョーンズJr.も早い時間でケガをしてプレーを続けられなくなり、それでドンチッチにいつも以上にボールを預けることになった。またホークスもドンチッチを全く止められなくても食らい付き、ドンチッチがアクセルを緩める余裕を与えなかった。ドンチッチ自身が絶好調だったのは言うまでもないが、それらの事情も記録を後押しした。

「記録を狙ったわけじゃないんだ。チームは3連敗中だったから、とにかく勝ちたかった。前半で41得点を挙げたと知った時点で記録は意識したけど、それでも勝つことだけを考えていた」とドンチッチは言う。ロッカールームではチームメートから水をかけられて祝福されたそうで、うれしそうにこう語った。「ティム(ハーダウェイJr.)だけ氷水をぶちまけてきたんだ。心臓が止まるかと思ったよ(笑)」