難しいシチュエーションのシュートを沈めてチーム最多27得点「今シーズンの中でも明らかに良い」
宇都宮ブレックスは横浜ビー・コルセアーズとの天皇杯クォーターファイナルに81-65で快勝し、セミファイナルに駒を進めた。
宇都宮のオフェンスを牽引したのは比江島慎だった。序盤から積極的にアタックし続け、前半だけで20得点を挙げると、最終的にゲームハイの27得点に加え、3アシスト2スティール2ブロックと攻守にわたって素晴らしいプレーを見せた。「ブレックスの歴史でも天皇杯は獲ったことがないので、なんとしても勝ちたいという気持ちで、アグレッシブに行こうと心掛けていました」。比江島は自身のプレーをそう振り返る。
また、「ウォーミングアップからほぼ入っていて、打てば入るんじゃないかっていう感覚でした。今シーズンの中でも明らかに良い」と自画自賛するシュートタッチの良さで、10本中7本の3ポイントシュートを沈めた。ただのキャッチ&シュートではなく、ピックからのプルアップなど、決して簡単なシチュエーションではない中でのこの正確さは特筆すべき点だろう。
宇都宮の指揮を執る佐々宜央は、比江島のパフォーマンスを素直に称賛するとともに、「表情が全然違う。『今日は自分だな』っていうモードに入っていた」とコメントしている。
「誰が出ても戦力が落ちないチームになっているのは、去年にはなかった強みだと思います」
この試合は、比江島とD.J・ニュービルの2人で50得点というスタッツが目立つが、横浜BCのエース河村勇輝のフィールドゴールを14分の3本に抑え込んだ、高島紳司を筆頭としたディフェンスも光った。また、佐々ヘッドコーチが早いスパンでセカンドユニットを投入し、選手たちがこれに応えたことも勝敗を大きく左右しただろう。
シュートタッチ好調の理由の1つにコンディションの良さを挙げ、26分のプレータイムで効率よく得点を稼いだ比江島は、「誰が出ても戦力が落ちないチームになっているのは、去年にはなかった強みだと思います。スタメン組のプレータイムもシェアできてるし、僕自身も良い状態で出られています」とチームの成長に大きな自信をうかがわせている。
「本当に自信を持って望めてるシーズンですし、D.Jなど頼もしいメンバーもいて、思い切ってやれてるなって思います。そして、なんだかんだ『自分がチームを引っ張って優勝したい』っていう思いは持ち続けています。リーグ優勝した2021-22シーズンと同じようなメンタルで臨めていると思うんで、去年の借りを返すためにも何としても天皇杯とリーグ、2つのタイトルを取りたいです」
頼もしい仲間に囲まれていても、比江島のエースとしてのアイデンティティは揺るがない。しかし、それは昨シーズンのように比江島に重圧を与える鎖でなく、高みへ飛び上がるための心強いエンジンとして機能している。そう感じさせる勝利だった。
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