「すぐに優勝が望めるチーム」となると移籍先は限られる
カーメロ・アンソニーのトレードに関する噂はとどまることを知らない。アンソニー本人もニックスが望むのであれば契約に含まれる『トレード拒否条項』を破棄する意向を示している。ニックスは現在21勝27敗で東カンファレンス11位。プレーオフに進出できるかどうかは微妙な状況だ。
ニックス球団社長のフィル・ジャクソンは、クリスタプス・ポルジンギスを軸に新たなチームを作るべく、アンソニーを放出したがっている。ただ、アンソニーがトレードを受け入れるための条件は「すぐに優勝が望めるチーム」。そうなるとトレードの相手は限られてくる。
そこで有力視されるのがクリッパーズだ。ここまで30勝18敗、プレーオフ進出は間違いなく、ここ一番で勝つためのピースを必要としている。球団社長とヘッドコーチを兼任するドック・リバースは、アンソニー獲得について『ESPN』に対し「必要なことなら何でもする」と前向きだ。
チーム内の誰であってもトレード要員になり得るかと質問されると、リバースは息子であるオースティン・リバースを引き合いに出し、「オースティンも他の選手も例外ではない」と話している。
ただ、リバースは「現在のチームに満足している」とも発言。チーム力を上げられると確信した場合に限り、トレードに踏み切るとの意向だ。つまり、NBAを見渡してもトップクラスの司令塔のクリス・ポール、インサイドで攻守ともに頼れるデアンドレ・ジョーダンとのトレードは論外ということ。
ニックスがグリフィンを獲得するにはローズ放出が必要
そうなるとブレイク・グリフィンが候補に挙がるが、この場合はNBAと選手会の間で取り決められている労使協定がネックとなる。NBA各チームには、ルーキー契約から契約を延長する際、『特定選手』を指名することが可能で、指名選手とは通常の4年ではなく、最大で5年の延長契約を結ぶことが認められている。ただ、トレードで獲得した特定選手はロスターに1名のみしか登録を許されていない。ニックスで『特定選手』に該当するのはデリック・ローズ。ローズを放出しない限りニックスはグリフィンを獲得できないのだ。
そこでニックスは大幅な譲歩を迫られている。将来的なドラフト1巡目指名権と、リバース、ジャマール・クロフォード、JJ・レディックといった実力者を組み合わせることで落としどころを探っている。
チーム再編に舵を切りたいニックスと、実力者カーメロ・アンソニーを獲得したいクリッパーズ。両者の思惑は一致しているが、足元を見られるだけの事情があるのはニックスだ。
実力は間違いないが年齢的にはピークを過ぎているアンソニーを好条件で手に入れることで、ウォリアーズに続くスターチームを作るのがリバースの目論見。いずれにしてもアンソニーの周辺がこれまで以上に騒がしくなるのは間違いない。