「アジア競技大会は今までやってきた中では、1番手応えを感じた試合ではありました」

パリオリンピック最終予選(OQT)を間近に控えた女子代表は強化合宿を実施中で、12名の代表入りに向けた激しい競争が行われている。その中でも替えがきかない中心選手として、代表入りが確実視されている1人が赤穂ひまわりだ。

184cmのサイズと機動力、巧みなハンドリング能力を備えた赤穂は、世界標準のサイズを誇るオールラウンダーとして東京オリンピックでは3番ポジションで活躍し、銀メダルの快挙達成に大きく貢献した。だが、恩塚亨ヘッドコーチ体制になってからは、チーム戦略によって4番ポジションでプレーしている。赤穂には自分よりサイズのある選手を守ると共に、スピードのミスマッチを生かして、相手を撹乱することが求められる。

恩塚体制で最初のビッグゲームとなったワールドカップ2022ではグループリーグ敗退の憂き目にあった。それでも昨年はアジアカップ、アジア競技大会と、世界屈指の強豪である中国を相手に敗れたとはいえ互角の戦いを繰り広げた。特にアジア競技大会の中国は、200cmのツインタワーが共に出場するなどほぼフルメンバーだったこともあり、赤穂はこのように手応えを語る。「アジア競技大会は今までやってきた中では、1番手応えを感じた試合ではありました。そして恩塚さん自身も選手にどう伝えたらいいのか、より分かるようになってきて、選手も聞けばいいところと、そのままやり続ければいいところが分かってきたのかなという感じがします」

そして、自身については、「ずっと試合にも出させてもらって、恩塚さんのバスケを理解していないといけない立場だと思います」と、チームを牽引していくことへの自覚を持っている。

「相手が高さを使えない状況に持っていくように、やっていかないといけない」

また、4番ポジションでのプレーについては、スピードのミスマッチを生かしていきたいと語る。「恩塚さんがやりたいバスケでは、私は4番の方がいいということなので、しっかり慣れて、持ち味を出していきたいです。4番になることで、機動力がもっと生かされる考えだと思うので、ガードより自分の方が速いと思ったらどんどんボールプッシュをしていく。リムランなど、走ることが相手のディフェンスのプレッシャーになると思います」

4番でプレーすると、特にOQTでは赤穂よりサイズが上の相手とマッチアップする可能性が高い。「正直、怖いです」と言う赤穂だが、一方で、アジア競技大会を経て対策もイメージできている。「高さではどうしても勝てない部分はあると思うので、そこ以外の部分で頑張ったり、相手が高さを使えない状況に持っていくようにやっていかないといけない。(そのために何が必要なのかは)『そういうことなんだろうな』というのは分かるので、あとは精度を高めていくことです」

また、『走り切るシューター軍団』をコンセプトに掲げる今回の代表において、赤穂もチャ ンスがあれば積極的に3ポイントシュートを打っていくことが求められる。「好きと思ったことないです」と語る長距離砲だが、打ち続けることの重要性は十分に理解している。

「もう空いたら迷わず打つことです。迷っていると、入るものも入らないと思うのでしっかり打っていく。打つことで相手が次に外を警戒してきます。それで次のプレーにも行けると思うので、自信を持って打っていきたいです」

OQTで対戦するスペイン、カナダ、ハンガリーは揃って日本よりサイズ、フィジカルでは上だ。日本が勝つには真っ向勝負でぶつかるのではなく、相手にフィジカルなプレーをできるだけ出させず、いかにトランジションの機会を作っていけるかが大きな鍵となる。

4番ポジションの赤穂が、どんどんボールプッシュを行いコートを疾走する。そして、外からシュートを打てる機会が増えていけば、自然と日本有利のペースへとなっていくだろう。