序盤から持ち味のトランジションを繰り出し、難敵の藤枝明誠に快勝
ウインターカップの男子準決勝、福岡第一は藤枝明誠に94-65で圧勝した。
第1クォーターから福岡第一は、攻守の素早い切り替えによるトランジションを繰り出し、26-12とリードを奪った。この先制パンチを導いたのは崎濱秀斗、山口瑛司のガードコンビで、第1クォーターでともに7得点とチームをけん引した。
その後、12点リードでハーフタイムを迎えた福岡第一だが、第3クォーターに入ると藤枝明誠に逆に走られて6点差に詰められるなど嫌な流れに。だが、ここで崎濱、山口の2人を起点に、トランジションをやり返すことで得点を量産。64-45と一気に突き放すことで、第4クォーターを前に試合を決めた。
17得点8アシスト4リバウンド2スティールと攻守に渡って大暴れし、勝利の立役者となった山口は、「自分たちのバスケが30分くらいできました。第3クォーターに危ない場面もありましたが、そこから切り替えて走り切れたのは良かったと思います」と試合を振り返る。
前日の準々決勝で福岡第一は、東山を相手に残り3分で10点ビハインドをひっくり返す逆転勝利を挙げた。試合終了直後にはメンバー全員が感情を爆発させる劇的な展開で、緊張の糸が切れてもおかしくなかった。しかし、福岡第一にそういったメンタル面の隙はなかった。山口が「昨日のミーティングで(井手口)先生にあと2回と言われて、気を引き締めることができました」と語るように、立ち上がりから持ち味の激しいプレッシャーをかけることで、試合の主導権を引き寄せた。
盟友・崎濱とのガードコンビ「2人が今までやってきたことの最高点を出せるように」
また、オフェンス面では、崎濱に任せきりにならないことを意識したと明かす。「昨日の試合の後、すぐに(崎濱)秀斗とコミュニケーションを取って自分たちの考えを合わせました。秀斗にディフェンスが寄るのはみんな分かっています。そして、相手が寄ったところで自分がパスをもらってアタックしシュートを決める。簡単なことですが、東山戦ではそれができていなかったです。それが今日は最初からしっかりやることができて、チームにも良い影響を与えられたと思います」
そして山口は「チームメートからも思いっきり打ったら絶対に入るからと言われていました」という周囲の厚いに信頼に応え、強気のアタックを継続することで、試合の流れを引き寄せた。
決勝の相手は福岡大濠で、4年ぶりの『福岡決戦』として盛り上がっている。山口にとっても、「西福岡中学のチームメートである三輪(大和)や岩下(愛育)もいますし、絶対に負けたくないです。県予選で負けていますし、最後は絶対に勝ちたいです」と特別な意識を持っている。
互いに手の内を知り尽くすライバルに勝つためには「厳しいディフェンスから速攻を出すことに関しては絶対に負けたくないです」と、自分たちの根幹であるハードワーク、トランジションで優位に立つことが何よりも必要と考える。また、1回戦から強豪とのタフな試合が続き、山口もフル稼働が続いている。疲労が溜まっているのは間違いないと思うが、「いつもの走るメニューの方がキツイので、まだ疲れは大丈夫です」と言い切る。
そして、同じ西福岡中出身でずっとチームをけん引していた盟友・崎濱との高校最後の試合となるが、「2人が今までやってきたことの最高点を出せるように、やりたいです」と、さらなる進化への意欲を見せる。この意気込みが現実のものとなった時、自然と結果はついてくるはずだ。