文・写真=泉誠一

後半、田中大貴の強気のオフェンスで流れを呼び込む

新たに始まったばかりのBリーグだが、長年のライバル関係であり、東西首位同士の『激突』となったシーホース三河(西地区1位)vsアルバルク東京(東地区1位)の一戦。三河の桜木ジェイアールは、「ポイントガードにギャレット選手が加わったことで、昨シーズンとは大きく変わっていた」と印象を語る。そのディアンテ・ギャレットは初対戦となる三河について、「インサイドが中心に攻めてくるチーム。センター陣のポストプレイや大きさを生かし、とにかくペイント内からの得点が印象的だった」そうだ。

今シーズン初対戦であり、地区をまたぐ対戦はレギュラーシーズン中、たった2試合しかない。お互いに意地のチームディフェンスを見せ、オフェンスでは選手それぞれが持ち味を出し合う好ゲームは、41-41とどちらも譲らずに前半を終えた。迎えた後半、A東京のエース田中大貴が「なるべく自分がアタックしやすいシチュエーションを作って、積極的に行こうと思っていた」という言葉通りの強気のオフェンスで流れを呼び込む。さらにA東京はアグレッシブなディフェンスで相手のミスを誘い、ボールを保持するやいなや速い展開で攻め込み、点差を広げていく。

後手に回った三河のオフェンスリズムは崩れ、前半は54.5%だったシュート成功率も後半は35.5%まで低下した。「パスを探してしまってオフェンスのリズムが悪くなった。もっとシンプルにやらなければいけないところを、自ら難しくやってしまった」とヘッドコーチの鈴木貴美一は、失速した第3クォーターを反省点として挙げている。勢いに乗ったA東京は、田中だけではなく、好守に渡って身体を張り続けた竹内譲次が10得点11リバウンドでダブル・ダブルの活躍を見せた。結果は81-69、12点差をつけたA東京が勝利を挙げた。

比江島慎、田中大貴の両エースはともに20点でチームを牽引

「戦術以上に、自分たちでコミュニケーションを取って問題を解決し、40分間集中を切らさずに戦えたこと」を勝因として挙げた伊藤拓摩ヘッドコーチ。特に後半は「プラン通り」に進んだ。

「三河はハーフコートバスケットをきっちりするチームなので、そのテンポに付き合うことなく、ディフェンスから走ることを心がけている。それが後半に出て、トランジションゲームで点差を開くことができた」

エース対決も見どころの一つ。三河の比江島慎とA東京の田中はともに20点を挙げ、リーディングスコアラーとしてチームを引っ張った。2戦目へ向け、勝った田中は、「三河も西地区首位としてのプライドを持って戦って来るので、今日以上にタフなゲームになると思う。それを受けるのではなく、こちらも今日以上のエネルギーを出して、試合の入りからしっかり戦っていきたい」と気を引き締めている。

敗れた比江島は、「我慢勝負で負けてしまった。シュートが入らない時間帯でも、入らないなりにディフェンスで我慢しなければならなかった。シュートが入らないことは天皇杯の時もそうだったし、そういう試合は必ずある。悪いなりにゲームを組み立てていけるように学んでいかなければならない」と課題が浮き彫りになった。

レギュラーシーズンは、最後に優勝するために課題を克服していくための戦いでもある。シーズン最後に何度も勝ってきた名将、鈴木ヘッドコーチは「今日のような自滅するゲームをなくしていかなければいけない。この敗戦を次に繋げられるようにしたい」と話し、早くもやって来る次戦に備える。お互いに対策を練りながら総力戦となるライバル対決2戦目も、三河のホームであるウィングアリーナ刈谷にて14時ティップオフ。