坂口は攻撃を組み立てるとともに相手のエースを抑える

千葉経済大学附属は精華女子、明星学園と強豪を次々と撃破。今日の3回戦では土浦日本大学と対戦し、接戦にはなったがほとんどの時間帯でリードを守って74-64で勝利した。

千葉経済大学附属は持ち味である攻守に強度の高いバスケをティップオフから機能させ、3分半で10-4と先手を取る。ポイントガードの坂口彩花が速い展開に持ち込み、チームメートに確率の高いジャンプシュートを打たせてリズムを作ると、坂口を含む全員がポジションにかかわらず果敢にオフェンスリバウンドに飛び込み、セカンドチャンスでも得点を重ねる。坂口は土浦日本大学のキーマン、前日の大阪桐蔭戦で35得点を奪った岡﨑真依へのディフェンスでも存在感を発揮。リングに向かわせずパスをさばかせることで、相手の勢いを削いだ。

最初はその勢いに面食らった土浦日本大学も、やられっぱなしではない。第1クォーターでは差を付けられたが、攻守のプレー強度を千葉経済大学附属のレベルにまで引き上げると、岡崎に頼らず他の選手が積極的に攻めて押し返し、そうするうちに岡崎が坂口の厳しいマークに慣れ、華麗なステップでかわして得点力を発揮し始める。

ただ、第3クォーター残り7分で1ポゼッション差に迫られたところで、千葉経済大学附属は攻守のギアを一段階上げる。そのスイッチを入れたのはエースの角陽菜多だ。177cmのセンターは高さの優位はあるが、土浦日本大学もなかなか角をフリーにはしてくれない。強引に放つシュートが決まらないうちに土浦日本大学に追い上げられる、動揺して崩れてもおかしくない場面だったが、「ああいう場面でも自分が弱気になって外でプレーするのではなく、中へ中へと強い気持ちで行く方が相手は嫌だとコーチにいつも言われているので、その通りにプレーしました」と言う。

「中へ中へと強い気持ちで行く方が相手は嫌」

第3クォーター残り5分半、その角がオフェンスリバウンドを取ってのアタックでバスケット・カウントをもぎ取り、今度はガードの牧野琉依がオフェンスリバウンドを取って素早くゴール下へとパスを送って角の連続得点に繋げる。

土浦日本大学が一番波に乗ったタイミングでの角のビッグプレー連発は効いた。千葉経済大学附属の攻守の強度に負けまいと必死で食らい付くが、それでファウルがかさむなど、頑張りが良い方向に出ない。岡崎がプレーメークしつつ自分でも積極的に仕掛けて得点を繋ぐが、千葉経済大学附属の優位は崩せなかった。

40分間を通して攻守の強度を高く保つ安定感が、千葉経済大学附属を勝利に導いた。坂口は岡﨑に26得点を奪われたことで「後半のディフェンスが悪く、自分の出来が良かったとは思っていません」と言うが、チームの強い勝ち方については満足している。「普段の練習からすごく走っているので体力には自信があります。苦しい場面はあったんですけど、チームとして勝ち切れたのはすごく良かったです」

インサイドを制する角、司令塔の坂口の2人がキーマンとなるが、牧野にメンディー・シアラ、髙品里桜の3人もタフに賢く戦える選手。角がシュートに苦戦する時、坂口が相手のエースを抑えきれない時も、別の誰かが活躍することで40分間チーム力を落とさない。その総合力が千葉経済大学附属の強さを支えている。