ケガの多すぎるエースに、条件付きマックス契約を提示
ペリカンズはザイオン・ウイリアムソンと昨年夏に5年1億9300万ドル(約290億円)のマックス契約を結んだ。ザイオンは巨体でありながら爆発的な運動能力を持ち、コンディションが良く身体にキレがある時には誰にも止められない。しかし、とにかくケガの多い選手であり、ルーキーシーズンに24試合、2年目には61試合に出場したものの3年目は全休。昨シーズンは復活を果たし、前半戦は大活躍でペリカンズを上位争いに導いたものの、年明けに右ハムストリングを痛めると、当初は数週間の離脱だったはずが復帰できないままシーズンを終えた。
ケガは不運もあるが、本人のコンディションに対する意識の問題でもある。これまでザイオンはプロ意識の低さを散々に指摘されてきた。今シーズンは上々のパフォーマンスを見せているが、インシーズン・トーナメントでレイカーズに敗れた時にはザイオンの覇気のない戦いぶりが敗因とされ、「痩せろ」や「まだマクドナルドを食いたいのか」といった批判が飛び交った。
ザイオンは他の選手にはない魅力を持ってはあるが、とにかくケガが多いため大型契約を結ぶリスクは果てしなく大きい。そのため、ペリカンズは『保険』をかけている。昨夏の時点で体重管理についての条項があり、体重と脂肪率が一定の数値を超えると年俸が減額されると報じられていた。
その詳細を『The Athletic』がスクープした。マイク・ヴォルクノフ記者の記事によれば、ペリカンズは長期契約のリスクを軽減するために体重と脂肪率のオプションだけでなく、出場試合数による規定も付けていたとのこと。昨シーズンにザイオンが23試合にしか出場しなかったことで、2025年以降の契約は無保証となった。
2025年からの3シーズン、彼の年俸はそれぞれ20%ずつの5つに分割され、「体重と体脂肪率の合計が295以下」で最初の20%が支払われる。クラブが発表している彼の体重は284ポンド。体重がその数値だとすれば、体脂肪率は11%までに押さえる必要がある。シーズンに「41試合出場」すれば年俸の40%が支払われ、さらに「51試合出場」と「61試合出場」をクリアすればそれぞれ20%ずつが追加される。
本来であれば、トッププレーヤーにこの類の状況は必要ない。ただ、ペリカンズとしてはザイオンの才能を信じていても、どれだけプレーできるかは懐疑的にならざるを得ず、ザイオンとしてもこの条項を受け入れることで、自分がアスリートとして果たすべき節制と鍛錬の努力を約束した。ケガなくコンスタントにプレーすれば、ザイオンは大金を払うに足る選手だ。まだ23歳で、精神的にはこれから成熟できる。厳しい契約条項ではあるが、彼が自分のコンディション管理に集中する助けとなるのであれば、彼自身にとってもペリカンズにとっても有意義なものになる。