遠藤祐亮

文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

「ブロックされてもいいやという思い」で得点を量産

栃木ブレックスと千葉ジェッツによるBリーグ『頂上決戦』は1勝1敗に終わった。

栃木は第1戦を3点差で落としたが、翌日の第2戦ではスタートから千葉を圧倒した。「ゲームの入り、ディフェンスのハードさに対して面を食らった」と、相手の大野篤史ヘッドコーチに言わしめた強度の高いディフェンスを軸に、82-64の快勝を収めた。

栃木の勝ちパターンである『ディフェンスの勝利』だったのは間違いない。それでも、5本の3ポイントシュートを含むゲームハイの25得点を挙げた、遠藤祐亮のオフェンス面での活躍が勝ちを引き寄せたとも言える。これは遠藤にとって、前日のリベンジを意味してもいた。

「アキ(チェンバース)選手や原(修太)選手など、サイズのある選手につかれた時に、相手のディフェンスを気にしすぎてしまい、あまり自分のタイミングで打てていなかったというのが反省点でした」と言うように、第1戦ではフィールドゴール成功率わずか15.4%(13本中2本の成功)の5得点。試合そのものが3点差での敗戦だったことを考えれば、遠藤の得点が伸びなかったことが敗因だったと言える。

「昨日ダメだった分、今日しっかりやらなきゃなという気持ちは正直ありました」と明かした遠藤は、そんな前日の鬱憤を晴らすかのように次々とシュートを沈めていった。

「昨日なかったトランジションで、相手のディフェンスを崩して気持ち良く打たせてもらったので」と、ノーマークでの3ポイントシュートを確実に決めた遠藤だが、ディフェンスとの間合いがわずかしかない場面でも、積極的にシュートを放つ姿が印象的だった。

「昨日は思いきり打たないことで、相手が守りやすかったんじゃないかと思ったので、ブロックされてもいいやという思いで、自分のシュートタイミングで打ちました」

「思いきり自分のタイミングで打てれば、チェックが来ても入る」とシュート力に自信をのぞかせる遠藤は、現在リーグ2位の3ポイントシュート成功率(46.1%)を誇っている。ディフェンスを過剰に意識せず、自分のタイミングで打つことが好調の要因だ。

遠藤祐亮

富樫も称賛「ベストな2ウェイプレーヤー」

この遠藤の働きを、千葉のエース富樫勇樹はこんな表現で称賛した。「ディフェンスの良さは皆さん知ってると思うんですけど、特に今シーズンはオフェンス面での活躍はすごいと、対戦してても思います。Bリーグの中でもベストな2ウェイプレーヤーだと感じます。今日は彼を乗らしてしまった。それとジェフ(ギブス)選手もライアン(ロシター)選手も周りが見える選手なので、外が入りだした栃木は止めるのが難しくなってきます」

リーグ最高勝率を誇る千葉の連勝を14で止めたこの1勝は、大きな意味を持つ。遠藤も「首位のチームを相手に18点差で勝ち切れたというのは、自分たちのプレーができたということ」と、栃木が目指すスタイルを体現できた時のチーム力に自信をのぞかせる。

「目指すところは一つしかない」と、安齋竜三ヘッドコーチは以前コメントしたが、もちろん、その思いは遠藤も一緒だ。「ディフェンスに関してはこの強度で。これからチャンピオンシップ、ファイナルまでしっかりやっていけるようにしたい」

メンタル面での成長も著しく、指揮官からも絶大な信頼を寄せられ、マッチアップした富樫でさえも称賛する遠藤のパフォーマンス。彼がこの調子を維持できれば、『王座奪還』のミッション成功率は自ずと高まるはずだ。